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知識・スキル・経験を売買できる日本最大級のスキルマーケットを運営しているココナラ。同社では2020年からCHRO(最高人事責任者)を配置し、上場後の事業成長に耐えられる組織・採用づくりに向けて、戦略的に人事施策を進めています。優れた人的資本経営および情報開示の取り組みを行っていると認められる企業として「
人的資本リーダーズ2022」にも選出されたココナラの人事戦略はなぜ評価されるのでしょうか。ココナラが人的資本経営に取り組み始めた背景や、実践プロセス、今後の展望について、同社CHROの佐藤邦彦氏に話を聞きました。
本記事は『HR NOTE』(運営:jinjer)からの
提供記事を基に再構成したものです。
なぜCHROを新設? 新・人事戦略が必要だった理由
──はじめに、ココナラがCHROを設置し、新たな人事戦略に取り組み始めた背景を教えてください。
佐藤氏:ココナラは2011年に創業し、知識やスキルを売買できるマーケットプレイスである「ココナラ」をリリースしてから約10年、プロダクトとしてのココナラを中心に事業成長してきました。2021年3月には株式上場しましたが、今後はココナラ経済圏という中長期戦略のもと、プロダクトとしてのココナラ以外でもビジネスの柱をつくるべく、事業を多角化させる経営方針を掲げています。
また、上場して2年以上たち、新たなステージに入る中で、多角化へのチャレンジと同時に、収益性を意識した経営を進めなければなりません。
このような大きな経営方針の転換が背景にあり、これからの変化を乗り越えられる組織体をつくるために人事戦略の見直しを行いました。
──CHROに就任されるまでの経緯を教えてください。
佐藤氏:私は2020年5月にココナラに入社し、同年9月にCHROに就任しましたが、入社当初は人事ではなくビジネスサイドで役割を担っていました。そこから、社内の状況を見直した結果、これからのココナラを伸ばすためには「人・組織」への注力が最重要ポイントだと思うようになっていきました。
当社は、ココナラというプロダクトをさまざまな職種のメンバーがワンチームで開発、運営をしてきました。今後、さらなる事業成長を見据えて組織のスケール化を可能にするためには、多様な人材の採用や、人事評価制度の刷新など組織運営の仕組み化が求められます。
経営のスピード感に合わせて人事戦略を実行していくことができるのか。変化に耐えられず、組織崩壊する可能性もゼロではありません。そう考えて、私が立候補して6月に人事を兼任し、経営陣と議論を交わしていく中で9月にCHROに就任しました。
新・人事戦略で重視した「2つの軸」
──どのような視点で、人事戦略の策定に取り組み始めたのでしょうか?
佐藤氏:一般的に、スタートアップは採用に重きを置くことが多いですが、採用と同時進行で、まずは人事制度を刷新して足元の仕組み化を進めたうえで、採用ブランディングの強化に着手し、本格的な人事戦略策定に取り掛かりました。
スタートアップが経営戦略として新規事業立ち上げを志向するうえでは、リソースが潤沢にあるわけではありません。「既存事業の成長を維持できるのか?」「会社に足りないケイパビリティを採用で獲得できるのか?」これらの壁を乗り越える必要があります。
こうしたチャレンジに踏み切るうえで、人や組織状態が要因でチャレンジできないとなってしまうのはナンセンスだと思ったのです。チャレンジの土台がある状態を目指し、今回の人事戦略を「組織戦略オプションの獲得」と称し、「採用」と「エンゲージメント」の2軸に注力して推進しています。
──採用とエンゲージメントを軸に、具体的には何を実行していったのでしょうか?
佐藤氏:人事戦略を実現していくために、まずは「現状の課題(As Is)」と「理想の状態(To Be)」のギャップを洗い出しました。そして、このAs IsとTo Beのギャップを埋めていくために、「何を軸として、何を大切にして進めていくのか」をあらかじめ明示する必要があると考え、「人事ポリシー」を策定しました。
この人事ポリシーを軸に「会社と個人のあり方を定義」して、具体的な施策に落とし込んでいったイメージです。
【次ページ】ココナラが着目した5つの課題、解決のために何をした?
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