フリーライター 井上 猛雄
1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。
国産航空機といえば、1962年に初飛行を成功させた国家プロジェクト「YS-11」について思いを馳せるかもしれない。YS-11が1973年に製造を終了して以降、民間機事業は中断され、日本単独での国産ジェット旅客機開発は行われなかった。実際にはボーイングなどの旅客機において国際共同開発が継続され、生産技術やインテグレーション技術を磨いてきたという背景がある。そして50年の沈黙を破り、国産旅客機のプロジェクト「MRJ(三菱リージョナルジェット)」が登場した。飛行計画の延期が相次いだMRJだが、2015年春にはいよいよ試験飛行が行われる。設計製造ソリューション展で登壇したMRJのチーフエンジニアをつとめる岸信夫氏は「航空機事業の再生は、今がチャンスだ、今しかない!」と強く訴え、日本の航空機産業の再生への熱い思いを語った。
あり余るコンピューティング・パワーとデジタル化された膨大なデータ、さらにウェアラブルのような新しいデバイスやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)によって、リアルとネットの融合が急速に進んでいる。世界ICTサミット2014では、シスコシステムズの平井康文 社長、インテルの江田麻季子 社長といった大手ICT企業のトップに加えて、家電ベンチャーのCerevoの岩佐琢磨 代表取締役、リストバンド型ウェアラブル機器を手がける米Jawbone(ジョウボーン)のバンダー・アンタビ氏、ジェスチャー型の新操作デバイスを手がけるLeap Motion(リープモーション)のマイケル・バックワードCEOという異色のメンバーがウェアラブル・IoTの未来を語り合った。
Air AsiaグループCEOのトニー・フェルナンデス氏といえば、「誰もが手軽に空の旅を楽しめるように」という理念のもと、常識を打ち破るLCC(Low Cost Carrier)として、価格破壊を巻き起こした航空業界の革命児として知られている。同氏は、もともと音楽関係の出身で、ワーナーミュージックで東南アジア地域のマネージャーや副社長を務めた経験をもつ。日本文化にも造詣が深く、中森明菜やX Japanなど日本のアーティストをアジアにプロモートした。まったく航空業界に無縁だった同氏が、いかに参入障壁の高い航空業界の壁を破ってきたか、とても興味深いところだ。この革命児がアジアの航空業界にもたらしたものは一体何か?先ごろ開催された新経済サミット2014に登場した同氏は、自らの口から成功の秘訣について語りはじめた。