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「ディープラーニングによってIT業界が変わりつつある」といった言葉を耳にすることがありますが、「実際にディープラーニングを扱うことは簡単なことではない」とほとんどの人は感じているでしょう。たしかに、知識ゼロから、多層ニューラルネットワークを構築して機械学習を始めるのは簡単ではありません。しかし、ディープラーニングが登場してからAI(人工知能)を使いやすくするためのツールやサービスがいくつも登場しており、今では「誰でもディープラーニングが扱える」ようになっています。今回は、ディープラーニングを使いやすくするためのツールについて解説していきます。
「ディープラーニングフレームワーク」とは
ディープラーニングの核になるのは「ニューラルネットワーク」と「機械学習」です。ただ、ニューラルネットワークにも色々な種類がありますし、機械学習の方法もさまざまです。
そこで、よく使われるニューラルネットワークの構成や機械学習の手法を1つにまとめたライブラリなどと一緒に開発支援ツールとして提供しているものが「ディープラーニング向けのフレームワーク」です。
フレームワークは、例えるなら「お惣菜」や「レトルト食品」を多数取り揃えるスーパーマーケットです。あらかじめ調理された食材や料理を組み合わせて夕食を作れば夕食作りの手間が大きく省けるように、フレームワークを使えば、あらかじめ用意されたコードを使って簡単にディープラーニングを使ったプログラムが作れてしまうというわけです。
料理もプログラミングも、最初から全部自分でやるのは効率が悪いです。プログラミングにおいて、ゼロからすべてのコードを自分で作るというのは「食材を畑から育てる」ようなものです。学校での勉強ならともかく、実務レベルでは現実的ではありません。通常は何かしらのフレームワークやライブラリを使って、手間を減らして開発します。
ちなみに、ライブラリは「有用なコードの集まり」です。組み合わせれば料理を作れるカット野菜のようなものでしょう。それに対してフレームワークはソフトウェアの骨組みを提供するもので、骨組みに沿ってコードをはめ込むだけでプログラムが作れてしまう代物です。アレンジしやすいレシピ付きのレトルトや缶詰食品といったところでしょうか。
こうしたフレームワークを使えば、ディープラーニングについてあまり良くわからないエンジニアでも、比較的簡単にAIが作れます。もちろん、最初は簡単なことしかできないAIにはなるでしょうが、そこから少しずつ学んでいくことで高度なAIが作れるようになるはずです。
AI向けプラットフォームとは
フレームワークだけではなく、AIそのものも一緒に提供してしまうのが「AI向けのプラットフォーム」です。ここまで来るとレストラン付きのショッピングモールです。使おうと思えばあらかじめ用意されたAIがそのまま使えますし、アレンジしたければフレームワークを使って自分なりのAIにカスタマイズすることもできます。
ただ、こうしたプラットフォームは往々にして特定企業のクラウド内で動作するものであったり、重要な部分は隠されていて変更できない仕様になっていたり、それなりの制限があることが多いです。それでも、大企業のプラットフォームであれば大企業が提供する膨大なデータベースが使える上にAIの質も高く、簡単にディープラーニングを駆使した優秀なAIが作れてしまいます。
もちろん、それを実際にビジネスに使っていくためには独自のデータベースや差別化のための機能追加などが必要になりますが、本格的にAI開発をするような環境がない企業にとっては大幅なコスト削減になることは間違いありません。
何よりも初めてAI開発を始める企業が「AIには何ができるか」を知る取っ掛かりになるという点も大きいです。プラットフォームはフレームワークに比べて種類が多く、目的や機能もさまざまなので慎重に選ぶ必要があるでしょう。
ここからは、あくまで一例に過ぎませんが、グーグル、フェイスブック、IBM、マイクロソフト、ソニーなどによる、著名なフレームワークやプラットフォームをいくつかご紹介します。
【次ページ】ディープラーニングの「フレームワーク」や「プラットフォーム」の事例、一挙解説
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