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- 2020/01/28 掲載
新組織で「食い倒れ」の街をパワーアップ、大阪の味は“粉もん”だけじゃない
安くておいしい料理に訪日客が殺到
大阪ミナミのど真ん中・中央区日本橋の黒門市場。ところどころに訪日外国人観光客が長い列を作っている。全国から集まってくる新鮮な食材を食べ歩きするためだ。中国の上海から来た会社員の女性(26)は「ホタテのバター醤油焼き」を目当てにやってきた。女性が日本へ来たのはこれが5回目。最初は東京を訪れたが、大阪へ足を延ばしてからすっかり大阪の魅力に取りつかれた。「街の雰囲気が庶民的で、とにかく食べ物が安くておいしい」とにっこり。ミナミでおなかを満たすのは、顔なじみになった店がある黒門市場と決めている。
黒門市場は新鮮な肉や海産物などを扱う150店以上が並び、古くから市民の食を支えてきた。訪日客がミナミに殺到するようになってから、食べ歩きの外国人でいっぱい。まるで大阪の食を楽しむテーマパークの様相を示している。
黒門市場の周辺でも、訪日客の行列があちこちで見られる。ミナミには料亭や高級レストランがたくさんあるが、訪日客の足が向かうのは大阪名物のお好み焼き、たこ焼き、うどんなど粉もんが中心だ。
中央区難波のお好み焼き店「味乃家本店」は行列ができる老舗として知られている。台湾から来た若い家族連れは「台北の屋台でお好み焼きが日式大阪焼の名で売られていた。おいしかったので、ぜひ本場で食べたくなった」と寒さを我慢して入店待ちしていた。
東京を大きく下回る訪日客の飲食消費額
大阪を訪れる訪日客数は年々増え続けている。大阪観光局によると、2019年は前年の1142万人を上回る1200万人の突破が確実となった。日韓関係の冷え込みで韓国人客が夏以降、減少したものの、中国人客の大幅増加で全体を押し上げた格好だ。しかし、訪日客の飲食費単価は他の都市に比べ、かなり低い。大商によると、2018年に訪日客が大阪市の飲食店で支払った平均額は131ドル(約1万4,000円)で、東京の202ドル(約2万2,000円)を大きく下回っている。
クレジットカード大手・マスターカードがまとめた2017年の世界渡航先飲食費ランキングでは、トップのアラブ首長国連邦のドバイをはじめ、タイのバンコク、フランスのパリ、米国のニューヨークなど世界の主要都市が上位を占め、東京が8位に入った。しかし、大阪はランク外だ。
大阪観光局が2018年に大阪を訪問した訪日客約4000人から大阪での食事について聞いたところ、77%がラーメン、58%がたこ焼き、41%がうどんやそばと答えた。これに対し、ミシュランの星を獲得したレストランや割烹(かっぽう)、料亭はわずか3%にとどまっている。
大阪にも世界の富裕層を相手に商売できる高級店がたくさんある。ミナミの道頓堀周辺では、フグやカニ、ハモ料理の名店が以前から人気で、神戸牛や松阪牛、近江牛など関西のブランド牛を扱う店も増えている。しかし、安くておいしいというイメージがあまりにも浸透したため、東京ほど高級店に足を運ぶ訪日客がいないのが現実だ。
大阪観光局は「SNSなどを通じて積極的に情報発信して大阪の食のブランド化を図り、世界での認知度を上げることから始める必要がある」と分析している。
【次ページ】澤田充氏ら民の力も推進機構に導入
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