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  • 2019/08/26 掲載

Facebookマーケティングの効果は「インクリメンタリティ」で測定すればいい

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ユーザーの複数端末によるWebアクセスが一般化し、コンバージョンまでのアクセス遷移も複雑になる中、広告の効果測定の難度はさらに増している。こうした状況で効果測定の指針として注目を集めるのが、広告がもたらした効果の増分である「インクリメンタリティ」だ。フェイスブック ジャパンでビジネスエデュケーションパートナーを務める永田次郎氏が、効果測定でインクリメンタリティを用いるメリットと、InstagramやFacebookがすでに実施している具体的な測定の中身を紹介する。
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フェイスブック ジャパン ビジネスエデュケーショナルパートナー 永田次郎氏

ビジュアル・コミュニケーションの開拓者「Instagram」

 企業のWebマーケティングにおいて、各種のソーシャルメディアは今や欠かせない存在だ。すでに多くの企業が、FacebookやTwitterの活用を本格化している。そうした中、新たな広告媒体として注目を集めているのが、Instagramである。

 Instagramは、iPhone向けアプリが2010年にリリースされて以来、簡単に写真を撮影/加工/共有できることを武器に、2012年のAndroid向けアプリのリリースも相まって幅広い年齢層で影響力を急速に高めてきた。その後、Facebookに買収されるが、こうした経緯を見てもInstagramが「写真の共有文化の母体」となったことに異論を挟む向きはないだろう。

 そんなInstagramの成功の原動力は、スマートフォンの技術革新を多くの人が手軽に楽しめる形で顕在化させたことだ。音声やテキストを用いる従来のモバイル・コミュニケーションに対して、Instagramの主役は「写真」だ。スマホで撮影し、簡単なテキストを添える程度の操作性も相まって、楽しむためのハードルも思いのほか低い。

 フェイスブック ジャパンでビジネスエデュケーションパートナーを務める永田次郎氏は、「Instagramが登場した2010年に発表されたのが、それまでより格段に高解像度なカメラとスクリーンを備え、綺麗な写真を身近に扱えるようになった『iPhone 4』です。Instagramは、いわば、そうした新たなビジュアル・コミュニケーションのインフラを、誰でも簡単に使えるようにした先駆けのサービスと言えるのです」と説明する。

従来の効果測定は限界に達した

 Instagramのアクティブ・アカウント数は、国内でも2018年9月時点で2900万を突破している。こうした中、「1秒間で3万文字の情報量を伝えられる」(永田氏)という写真の情報伝達力に着目し、消費者と“つながる場”として、Instagramの利用に乗り出す企業も相次いでいる。

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Instagramのユーザーは日本でも指数関数的に増え続けており、2018年には2900万を突破した
 Instagramも、独自のフルスクリーン広告である「ストーリー広告」や、フィード部分に動画を表示させる「動画広告」、横にスライドさせることで複数枚の画像表示が可能な「カルーセル広告」など、広告フォーマットの拡充を続けている。

 ただし、たとえInstagram広告であっても、Web広告が直面している課題からは逃れられないと永田氏は説く。効果測定がさらに難しくなっていることが、その理由だ。

「スマートフォンの普及により、タブレットやPCといった複数デバイスでのWeb利用が当たり前となることで、コンバージョンまでのアクセス遷移も非常に複雑になりました。結果、従来手法による効果測定は限界に来ているのです」(永田氏)

 Web広告の効果測定で現状、一般的に用いられているのが、いわゆる「刈り取り」系のラストクリックなどだ。しかし、それでは、遷移中に触れた広告によるユーザーの態度変容までの把握は到底不可能だ。だが、それを無視してよいのかは、多分に疑問に残るところでもある。

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インクリメンタリティが効果測定の新たな指針に

 この課題にどう対応を図るべきなのか。永田氏の提言は、広告がもたらした効果の増分である「インクリメンタリティ」に着目した測定手法「実験計画法」の採用だ。

 ラストクリックをもとに効果測定をすると、広告がなくてもコンバージョンに至ったケースまで広告の効果に含んでしまうことがある。こうした誤認を排除し、インクリメンタリティを的確に測定するための手法として活用できるのが「実験計画法」である。

「実験計画法は、農業で広く用いられてきた効果測定法。農作物の育成では、水やたい肥、気温など、多様な要素によって収穫量が変わります。では、そのうち何がどれほど、何に影響を与えているのかを、たとえば水だけを変えることで個別に測定するのです」(永田氏)

 具体的には、測定対象を「広告を配信するテスト側」と「配信しないコントロール側」にランダムに分け、テスト側にのみ広告を配信したうえでアンケート調査を実施。そこで得られた回答の差異(リフト)をインクリメンタリティとして認識するというものだ。

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広告を見たユーザーと見ないユーザーにアンケート調査を実施し、その差異を基にインクリメンタリティを把握する
 永田氏はリフト調査の特徴として、次の3つを挙げる。1つ目は、効果を人ベースで代替指標ではなく測定できることによる「正確性」、2つ目は、クロスデバイス/クロスチャネルの広告接触とコンバージョンを結び付けられる「クロスプラットフォームへの対応」、3つ目は、正確な測定結果を基にマーケティングのより良い意思決定を下せることによる「次のアクションの起点」である。

【次ページ】ファネルを網羅した測定方法
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