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  • 2025/03/31 掲載

ワークマンやキユーピーが発見「ファン化」のきっかけとは?ファンマーケティング入門

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近年、企業は従来の一方通行の広告から脱却し、顧客との双方向コミュニケーションを図る手法として「ファンマーケティング」を採用することが増えています。アップルやスターバックスといった大手ブランドのみならず、スポーツチームや中小企業、個人インフルエンサーも、消費者の価値観の変化やメディア環境の多様化を背景に顧客ロイヤルティの向上を目指しているのです。では企業は顧客との信頼を基盤とした持続的な関係をどう構築すればよいのでしょうか。今回は、ファンマーケティングの基礎から、ワークマンやキユーピーといった具体的な企業の実践事例などについて分かりやすく解説します。
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ワークマン躍進の裏には「ファンマーケティング」があった
(写真:アフロ)

ファンマーケティングとは何か

 ファンマーケティングとは、商品やサービスの単なる利用者を「ファン」として育成し、ブランドとの長期的な関係を築くマーケティング手法です。従来の広告やプロモーションとは異なり、顧客の愛着や共感を醸成し、自発的な情報発信や継続的な利用を促すことを目的としています。

 代表的なファンマーケティングの手法として、「アンバサダー制度」「コミュニティ運営」「UGC(ユーザー発信コンテンツ)の活用」などがあります。企業にとっては、単なる一過性の販売促進ではなく、顧客と長期的な信頼関係を築き、LTV(顧客生涯価値)を高める戦略として重要視されているのです。

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ファンマーケティングとは何か? なぜ注目されているのか?
(Photo/Shutterstock.com)

すべての企業にファンマーケティングが必要なワケ

 こうしたファンマーケティングが日本で重要性を増しています。その背景にあるのが、日本の市場そのものが縮小している現実です。日本の人口減少と税金の増加に加え、所得も上がらず停滞していることで支出全体が冷え込んでおり、20代・30代は顕著にお金を使う量が減少してきています(出典:消費者庁「第1部 第3章 第1節(2)若者の消費支出について」より)。

 こうしたトレンドの中、ファンマーケティングを取り入れ、20代・30代の支持を獲得し、着実に売上をあげている会社があります。それがワークマンです。10年間で売上高2.6倍、営業利益率も20%超えと、驚異的な成長を遂げていますが、実はその裏には「アンバサダー」の存在があります(出典:NewsPciks「ワークマンの常識を覆す「ファンマーケティング」がスゴすぎる」)。

 同社は自社製品を愛用する熱心な顧客を「公式アンバサダー」に任命し、ファンの協力を得て商品のPRや開発に役立てています。アンバサダーにはあえて無償で活動協力を依頼しており、金銭的な広告色を排除することで第三者視点のリアルな発信をしてもらう工夫がされています。

 このアンバサダーによる広告効果は、テレビCMの数十倍あると同社は考えており、実際に同社は2021年4月テレビCMから撤退しています。それほど、SNS上のインフルエンサーを活用したUGCの活用の費用対効果が高いということです。

 このように、日本市場の縮小が進む中で、企業は従来の新規顧客獲得中心の戦略から、既存顧客との関係を強化する方向へシフトせざるを得なくなってきています。

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ワークマンの躍進はアンバサダー制度によるところも大きかった
(Photo/Shutterstock.com)

消費者は1対1で向き合ってくれる企業を求めている

 近年、ファンマーケティングの重要性が増している背景にある2つ目の要因として、SNSに対する消費者のあり方が変わってきていることが挙げられます。

 SNSは初期こそ個人の発信力を加速するものでしたが、炎上リスクのほうが高くなり、主体的に自分の本来の姿を発信することができなくなっています。そのため、人々は「自分が自分らしくいられる」居場所を求めています。

 GWIによる調査によると、オープンなSNSよりも閉じられたオンラインコミュニティのほうが

  • 有意義な会話ができる(36%)
  • 他の人から尊敬されている(26%)
  • 自分らしくいられる(24%)
  • 感謝されている(21%)
  • 意見を聞いてもらえている(19%)
  • 所属意識がある(18%)

と感じられることがわかっています。

 加えて「2015年以降、消費者は、自分が関与していると感じられ、1対1の関係にあると感じられるブランドを支持する傾向が強くなっている」と主張しています。

 このトレンドは上記のアンバサダーマーケティングにも通じるものがあります。

 ファンマーケティングは、既存顧客から得られたインサイトを、新規向けのマーケティングに活かすこともできます。

 興味深い例として、キユーピーの取り組みを紹介します。キユーピーは、2014年からファンマーケティングに取り組んでおり、ファンとの対話を積極的に行っている企業です。

 ファンとの対話やコミュニティの分析を通じて、マヨネーズをかけるため・和えるために「テーブルで」使うのではなく、炒めるために「キッチンで」使って料理を美味しくできた、という成功体験がファン化を促進させるトリガーであることを見つけました。

 そこで、「マヨソテー」という新しいマーケティングメッセージを打ち出したのです 【次ページ】ファンマーケティングを具体的に設計する方法
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