- 会員限定
- 2023/10/04 掲載
金融はどのように変質するか? 「量子コンピューター」「ゲーミフィケーション」の場合
前編はこちら(この記事は後編です)
「金融×ゲーミフィケーション」の可能性
片山智弘氏(以下、片山氏):ゲーミフィケーションには行動変容を引き起こす力があります。新規顧客のハードルを下げる、顧客の購買継続を促す、その会社やサービスのファンを作るという3つの力です。まず、金融などに対してハードルが高いイメージを抱いている層に『ゲームだし、面白そうだからやってみようかな』とハードルを下げさせる。ゲームを通じてリテラシーを身につけると、継続してみたくなる。そして楽しくなってきて、ファンになっていく。こうしてエンドユーザー側のリテラシー向上と、企業側の事業成長との双方に貢献できるのがゲーミフィケーションの強みです。
仮に利息の水準がどの金融機関でもほぼ一緒だとしても、ゲーミフィケーションによって「この銀行が好きだ」「この証券会社が好きだ」というファンを作り出すことができるのです。盛り上がりつつあるデジタル証券とも相性は抜群です。
10年ほど前に最初のブームが来た当時、ゲーミフィケーションといっても「何となく楽しくしておけばいいだろう」とか、ログインボーナス、ランキングなどPBL(ポイント・バッジ・リーダーボード)を取り入れておけばよいだろうというような、既存のソーシャルゲームに実装されていたものをユーザーの気持ちを考えずにそのまま取り入れる小手先的な取り組みが少なくありませんでした。
しかし今や、状況は一変しています。まずターゲットペルソナを設定し、そこからマーケティングや経営戦略、サービスデザインを組み立てるといった、行動経済学に基づいた取り組みが広がっています。より具体的には認知のエラーである「バイアス」や、ついやってしまう「ナッジ」などです。
人間の心理や行動の本質を更に大事にするようになったと言い換えることもできるでしょう。テクノロジーもそこに追いついてきました。実装環境やスキル、電波環境の良化も含めて、動きがカクカクしているとか、2Dであるとかいった、そういった初歩的な課題を含めて乗り越えやすい環境が整ってきたと感じています。 【次ページ】金融の変質、「量子コンピューター」の場合
関連コンテンツ
PR
PR
PR