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- 2025/03/18 掲載
【徹底解説】ゲーミフィケーションカオスマップ、3つの視点で読み解く潮流とは?

そもそもゲーミフィケーションとは何か?
ゲーミフィケーションとは「ゲームの性質を踏まえた利活用」のことである。ゲーム以外の領域へゲームの持つ仕組みや構造、考え方など性質を活用することを端的に示すものである。
本稿で用いるこの定義は経済産業省委託事業「令和4年度地域デジタル人材育成・確保推進事業(ゲーミフィケーションをコアナレッジにしたDXに資する人材育成)」にて出てきた定義を踏襲している。
ゲーミフィケーションの効果とは?
そもそもゲーミフィケーションの効果とは何か。ゲーミフィケーションの効果は体験価値提供や行動変容の領域の3つのポイントへ貢献するものと考えられている。事業のどのKPIへ貢献するかも含めて述べる。
1つ目は、最初のハードルを下げることである。難しいものや理解しにくいものをゲーミフィケーションにより、「やってみたい」という意欲を高めたり、「とっつきにくさ」が低くなったりすることで、サービスの新規獲得や新規会員登録のKPIへ寄与する。
2つ目は継続したくなることである。継続したいと思ってもらえるモチベーションを分析して、ゲーミフィケーションに仕込むことで、続けたいと思ってもらえる仕組みをサービス内に実装していく。
たとえば、ヘルスケアや教育などの分野など、継続してもらうことが重要な対象について有効である。KPIとしてはMAU、継続起動率などに寄与する。
継続についてはテクニックが成熟しており、昨今出ているゲーミフィケーションを用いたアプリなどでも、たとえばユーザーフォロワーの数と、それに応じたランキングが設定や、さらに寄付に応じてのバッジの獲得、これらの上位を皆で応援する仕組みなども見受けられる。
ランキングやバッジ、それらの可視化の仕組みは、非常にゲーム的な要素であり、これにより収益が増加したり、継続を図ったりするできるため、頻繁(ひんぱん)に利用されている。
3つ目は、ファンを作ることである。たとえば電気やガスなどのインフラなどがそうだが、価格や性能で差別化しにくいものに、情緒的価値をつけるエンターテインメントを実装することで、価値を付与していく。KPIとしては紹介、LTVへの貢献があげられる。
この3つはつながっている場合もあれば、施策によっては相反することもあり、このバランスが非常に重要になる。また、上記は事業上のKPIであるが、それ以外のアウトカムに関しても上記定義が使えるだろう、ゲーミフィケーションを教育に使った場合、効果の基準は学習の動機や理解などである。
ゲーミフィケーションが今注目される理由は?
ゲーミフィケーションに今注目される理由として大きく2つの流れがある。1つは社会課題解決への機運の高まりだ。
SDGsの認知・理解拡大や、公共とビジネスが交じる第三セクターの文脈など年々大きくなってきている。
社会課題の中には、内容が難しいものが多い。しかも、続けていくことが必須で、意義・意味そのものは理解されていながら、いざ行動に移す個別のモチベーションや関心度に大きなばらつきがある。
この解決には意識の高い人や当事者の一部だけではなく、社会全体を巻き込んでいかなくてはならない。その中でゲーミフィケーションは、有効な手段1つになり得るだろう。
もう1つはデジタルテクノロジーの発展によるweb2.0の成熟である。
2015~2016年にゲーミフィケーションは1次ブームを迎えているが、事業者目線では回線やサーバ、プログラムのライブラリも整い、実装へのハードルが低くなった。Web2.0のユーザー間インタラクティブなプラットフォームやソーシャルゲームの市場形成がゲーミフィケーションの社会実装に寄与した。
スマートフォンの普及も大きく、端末内のGPSやQRなどのカメラインフラも身近になったことも恩恵がある。たとえば、移動距離やチェックイン回数に応じたリワードや、ポイントやレシートなどのQRコード、購買商品によっても特典も付与したりする。
このように1つひとつのユーザーの行動と、サービスが非常に結び付きやすくなり、ゲーミフィケーションとして扱いやすくなった環境が育った。
また、こうした環境下で技術的な差別化が難しいからこそ改めて人間の認知や行動原理へ回帰することが大切になった点も重要なポイントである。
東京大学大学院情報学環 坂井 裕紀氏が過去に日本国内のゲーミフィケーションの文献発行数を調べた際、初期は理論的な探求が多かったが、近年はこの中で実践に関するものや、実践の効果に関する文献が増加しているという。社会実装が進み、アカデミアにまで実証研究が浸透し始めている。
海外調査会社のThe Business Research Company (ザ・ビジネスリサーチカンパニー)によると世界のゲーミフィケーションの市場全体は、2027年には464億4,000万米ドルに達すると予測され、世界のビジネスシーンにおいて、新潮流の1つになりつつある。
カオスマップにみるゲーミフィケーションのプレーヤーは?
ではゲーミフィケーションカオスマップを紹介しよう。
このカオスマップは、日本国内に向けた事業を持ち、かつゲーミフィケーションに分類可能サービスをWebサイト上に記載があるか、有償提供を事実確認できるかなどをベースに選定している。
各社のカテゴリーは法人間で取引する「BtoB」と最終的に生活者やエンドユーザーにサービスを提供する事業者「BtoBtoC , BtoC」に2分割し、同カテゴリー内でも提供サービスの特性や業界ごとにセグメントしている。
・有志の団体や大学の研究で開発されたアプリなど実際に有償提供がされていなかったり、ゲーミフィケーションがサービス全体の中でログインボーナスのみやランキングのみだったりするなど1~2機能ほど用いられているもの。
・宗教団体への勧誘で用いられるものや健康または個人の資産を害する可能性があるもの。
・Web3やNFTなど事業とは異なる経済的価値をゲーミフィケーションそのものが作ってしまうもの。
・チャットボットやアバターなどサービスが主軸にあるものやVRでのモチベーション管理などのもの(コミュニケーションのためのものをゲームで用いているという解釈から)。
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