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- 2023/09/19 掲載
リンカーンとマーケの神が「成功の秘訣」を証明、「テスラら4社」は普通と何が違う?
食肉業界の例:ビヨンド・ミート&インポッシブル・フーズ
日本ではまだあまり認知されていないが、大豆を原料とした代替肉を販売する米ビヨンド・ミート社や米インポッシブル・フーズ社が食肉業界で革命を起こしつつある。両社は、スーパーでの店頭販売やファストフード店へのパテとしての提供など、さまざまな販路を開拓し、代替肉製品は市場に浸透しつつある。注目すべきなのは、両企業とも、食品企業としては特異なメッセージを発信していること、そして特異なキャリアを持つCEOが率いていることだ。
1つ目は、「よりおいしい味」や「より安い価格」といった顧客体験ではなく、牛から排出されるメタンの抑制や牛の飼育に必要となる大量の水の抑制といった地球環境を保全する目的で創業していること。そして2つ目が、創業者の専門分野で、彼らは食肉や畜産を専門としていないことである。
まずビヨンド・ミートの創業者兼CEOであるイーサン・ブラウン氏はMBA(経営学修士)とMPP(公共政策修士)を持ち、キャリア最初の専門分野はクリーンエネルギー(特に、水素を燃料とする燃料電池の開発)だった。全米水素協会の副会長や米国燃料電池協議会の幹事などを歴任した後、持続可能な食品供給の問題に取り組むため、ビヨンド・ミートを設立した。
一方、インポッシブル・フーズの創業者で元CEOであるパット・ブラウン氏は医学博士号と生化学の博士号を取得した後、スタンフォード大学医学部の生化学教授を務めた。彼は、畜産による地球環境への影響を軽減するために、植物ベースの代替肉の開発を目指してインポッシブル・フーズを設立した。
また、両社ともよりリアルな肉の味を再現するために、データサイエンティストを雇用。製品の品質改善や製造プロセスの改良などさまざまな領域で、データサイエンスを駆使している。
このように、昔からある産業に別分野のバックグラウンドを持った人たちが、今までその業界にはなかった目標を掲げて革新をもたらしているケースと言える。では、Who,Why,Whatの観点で従来の企業と何が違うのかまとめてみよう(図1)。
このようにWho,Why,Whatの観点で企業を分解してみると、すべての観点で特徴を明らかにできる。
ではさらに、シューズ業界のオールバーズと自動車業界のテスラによる革新も見てみよう。両社の「Who,Why,What」には何が当てはまるだろうか、予想しながら読み進めてほしい。
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