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- 2023/09/14 掲載
永谷園の「おとなのふりかけ」は「常識完全無視」だった? 学ぶべき「4つ」の視点とは
連載:ロングセラー解体新書
製品を生んだある「着眼点」
「おとなのふりかけ」が生まれたきっかけは、担当者が消費者データでの発見からでした(永谷園の公式サイト)。担当者が消費者データを見ていたところ、興味深い事実に気づいたと言います。それは、ふりかけは11歳までの子どもにはほぼ100%の割合で食べられているものの、12歳から急に需要が減少してるということです。つまり、消費者にとっては「ふりかけ=子ども商品」というイメージの定着が、データから裏付けられたわけです。このままでは、出生率の減少に伴いふりかけ市場は縮小していく。今後ふりかけ市場が成長していくためには「ふりかけ=子ども商品」という既成概念を打ち破らなければいけないとの思いから、永谷園は「子どもだけではなく、大人も満足できるふりかけ」をテーマとした新商品の開発プロジェクトを発足させました。
商品開発においては「大人が満足するふりかけ」を実現するために、素材、パッケージ、ネーミングまでさまざまな工夫がなされました。
同商品のブランドサイトによれば、海苔は、全国の漁連から商品にあった海苔を選んで買い付け、海苔本来の味や食感の良さを重視。色鮮やかさや独特の風味を残すことにもこだわったそうです。パッケージは、大きな白地の枠内に商品名を黒字で入れたモノトーンのデザインとすることで、高級感を演出しました。また、背景には、深い色味の市松模様がプリントされており、落ち着いた雰囲気が感じられます。そのほか個包装とすることで、海苔の食感と素材の風味を保つ工夫も行っています。
では、こうした特徴を持つ「おとなのふりかけ」から、マーケティング視点でどんなことが学べるのでしょうか。
ふりかけ市場の「意外な傾向」
まずポイントとなるのは、商品を生み出すに至った、担当者の「着眼点」です。前述したように、「おとなのふりかけ」の開発のきっかけは、データを見て12歳以上のふりかけの喫食が11歳以下に比べて明らかに少ないという発見からでした。消費者データを見て、この状況に課題意識を持った担当者の目の付けどころはとても秀逸で、ぜひ見習いたい着眼点だと思います。
というのも、もし「ふりかけ=子どもが食べるもの」ということを担当者が暗黙の了解として常識のように捉えていた場合、データで12歳以上の人がふりかけを食べていないことがわかっても、「そういうものだろうな」と気にも留めずに素通りしたはずだからです。事実、当時は大人向けのふりかけはどこも出してはいませんでした。
一見、導き出せるものがなさそうなデータから課題を見出し、先入観にとらわれないビジネスチャンスをつかんだことが、常識を変えるヒット商品につながったのです。
では、こうしたビジネスチャンスを見出す着眼点は、どのように養えばよいのでしょうか。 【次ページ】チャンスを見つける4つの「みる」とは
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