- 会員限定
- 2024/02/14 掲載
リプトン ミルクティーまさかの「大失敗」、崖っぷちを逆手の「スゴい挽回術」とは
連載:ロングセラー解体新書
リプトン ミルクティーの「ある失敗」
リプトン ミルクティーは1989年に発売された紙パック飲料です。約30年にわたって変わらぬ味で親しまれてきた同製品ですが、2022年3月に一度、味の大幅なリニューアルを試みたことをご存じでしょうか。リニューアルでは、一貫した冷蔵管理でおいしさが変わりにくい“おいしさキープチルド製法”と呼ばれる新製法を導入。「いつでも淹れ立てのようなおいしさが味わえる」というチルド紅茶の価値を向上させた上で、使用する茶葉も従来から5%~10%増量したことにより、フレッシュで本格的な紅茶の香りが大きくアップさせました。パッケージについても、紅茶のティーバッグをイメージしたデザインに変更しています。
しかしこのリニューアル、同社はわずか1年で元の味に戻すという意思決定を下します。なぜ、大規模なリニューアルを行ったにもかかわらず、わざわざ元の味に戻してしまったのでしょうか。
その理由は、顧客からの「元に戻してほしい」という声があまりにも多かったからだといいます。
森永乳業の発表によれば、森永乳業のお客さま相談室に届いた意見は、同社として過去最多の667件。この反響を受け、リニューアル後1年という驚きのスピードでリニューアルを取りやめるという異例の決断をしたのです。このエピソードだけでも、リプトン ミルクティーがいかに多くの顧客に愛され、ブランドイメージを確立してきたかということが伺えます。
復活騒動が「アニメ化」?
さて、そんなリプトン ミルクティーのリニューアル騒動ですが、この件にはまだ続きがあります。森永乳業は、リプトン ミルクティーを元の味に戻しただけでは終わらず、問い合わせ窓口に寄せられた声をもとに、オリジナル恋愛アニメを制作したのです。『667通のラブレター』と題されたこのアニメは、高校生の男女2人が主人公。突然会えなくなったお互いを思って手紙を送り続ける、というストーリーです。
プロジェクトに携わった電通によると、作品の中で使われているセリフや、街中のポスターや看板といった背景画には、すべてリプトン ミルクティーに実際に寄せられたお問い合わせの言葉を使用したそうです。公開後、森永乳業の公式アカウントから投稿された動画は、再生回数300万回以上を記録。また、元の味に戻した製品の初週のコンビニ売り上げは、前週比で約400%を記録したといいます。 【次ページ】失敗は「バロメーター」と言えるワケ
関連コンテンツ
PR
PR
PR