- 2017/11/06 掲載
15兆円を目指す「スポーツビジネス市場」、未来考察への俯瞰図を見る(2/2)
従来のスポーツの定義に当てはまらない「肉体拡張」スポーツ
さらに「Sports-Tech Landscape」2017では、「コンテンツ&エンターテインメント」「スマートスタジアム」「ヘルスケア」「マッチングプラットフォーム/ファンディング」「データアナリティクス&チームマネジメント&コーチング」「ハードウェア」「肉体拡張、新規スポーツなど」の7つのカテゴリを設定している。・コンテンツ&エンターテインメント
プロスポーツの試合や選手に関する情報メディアを運営する企業や、スポーツ番組をスマートフォン向けに配信している企業などが該当する。なお、ランナーが自分の自慢の道(ランニングコース)を投稿しあえるCGMサービスを提供しているRuntripも含めている。
コンテンツビジネスは、月額課金などのビジネスモデルが確立しており、スポーツテック領域では比較的成熟した市場となっている。コンテンツ自体の優位性はもちろん、今後はスポーツならではのコンテンツ視聴体験をどう提供できるかが差別化ポイントになるとしている。
・スマートスタジアム
野球やサッカーなどの競技場・屋内スポーツやその他イベントで活用するアリーナの管理運営に関するITソリューションを提供している企業が該当。典型的なものでは、スタジアムWi-Fiを設置して、スマホアプリと連携させることで選手や試合の情報を観客が手元で確認したり、フードデリバリーを注文することができるサービスがある。
最近では、映像圧縮技術や高感度マイク、ヘッドマウントディスプレイなどを使って高臨場感の観戦体験を提供するソリューションが注目されている。
・ヘルスケア
個人の健康管理やフィットネス事業の延長線上でのITサービスを提供している企業が該当。Fitbitなどのワイヤレス活動量計を用いた運動促進サービスは、2015年頃から米国で普及し始め、従来スポーツをしなかった層にも受け入れられた点が大きい。
今後は、ウェアラブルデバイスの技術的進展によって活動量だけでなく疲労度・集中度などのデータのモニタリングも可能になるため、各種スポーツへの応用が期待されている。
・マッチングプラットフォーム/ファンディング
スポーツを学びたい人と教える人、同じ趣味のスポーツ愛好家同士、などスポーツにまつわる出会いを提供する企業が該当。アマチュアスポーツチームなどの選手育成費用が欲しい人と、資金の出し手をつなげるという意味で、スポーツ特化型のクラウドファンディングも含めている。
不動産情報サービスを提供するLifulが始めた「Lifull Scouting」は、スポーツで活躍のフィールドを求めるプレイヤーが自身のプレー動画などを公開することで、有望選手を探すチーム・企業を結びつけるマッチングサービスであるが、こうした他業界からの参入が見込まれる領域となっている。
・データアナリティクス&チームマネジメント&コーチング
データ分析によって個人やチームのパフォーマンスを最大化するソリューションを提供する企業が該当。元々は各国代表チームやNFLチームなど、勝敗によるビジネスインパクトの大きい世界で、トレーニングから采配にいたるまでのデータ管理を中心に取り組まれてきた。
最近では、個人のゴルフスイングから子供の体育の授業に至るまで、幅広いシーンで導入されている。研究分野としては、体の動きやボールの軌跡などを解析して、熟練者の心技体の真髄を見極める研究が注目されている。
・ハードウェア
伝統的なトレーニング器具にデジタル技術を取り入れた企業をはじめ、イヤホン型ウェアラブルデバイスで運動中のコミュニケーションを支援するBONX、14個のセンサーでユーザーの動きを認識するスマートアパレル「e-skin」を提供するXenomaなど、多様性に富むプレイヤーを取り上げている。大学発ベンチャーも多く、技術的な先進性に注目が集まる一方、マネタイズ(収益化)の難しさが課題でもある。
・肉体拡張、新規スポーツなど
従来のスポーツの定義に当てはまらないスポーツを生み出そうとしている企業を取り上げている。eスポーツは、ビデオゲームを遊びから競技にまで高めて競うスポーツで、世界大会が行われるなど市場規模としては拡大している。
「肉体拡張」は、アクション漫画のような「技」が繰り出せるHADO(meleap)や、障がい者も健常者も一緒に楽しめる「キャリオット」など、テクノロジーによってスポーツの可能性を広げる取り組み。
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