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- 2017/02/06 掲載
自動車部品最大手ボッシュが考える「未来のクルマ」と3つの技術ポイント
完全な自動運転まで10年かかる
2025年には新車の半分が電動化される
「第9回 オートモーティブ ワールド カンファレンス」に登壇したメーダー氏は、こうした未来のクルマを支える技術ポイントとして、環境規制対応につながる「電動化」、人為的事故の防止やパーキングの手間を省ける「自動化」、センシングにより地図情報を正確に読み取れる自動運転の大前提である「ネットワーク化」を挙げた。
まず1つ目の電動化については、エレクトロニクス化が進むにつれ、インフラも整備されていくと指摘。2020年までにバッテリのコストは半減され、世界全体で300万の充電ステーションが整備されるとの予測を持ち出した。
「2025年には新車の半分が電動化されるが、やはりバッテリが重要になるだろう。電動化では、バッテリがコストと重量に大きな影響を与えるからだ。当面はリチウムイオン電池が主流だが、ハイブリッドでない完全電動自動車が航続距離を伸ばすには限界がある。そこで新たなソリッドステート(全固体)のバッテリなどが注目を浴びている。これに関しては、すでに我々は関連技術を持つ企業を買収している」(メーダー氏)
「完全な自動運転」は今後10年かけて進める
「これは現行の運転支援システムを拡張していくことから始めなければならない。たとえば、交通渋滞時のアシストや、リモートパーキングはすでに実現されている。次の段階はハイウェイパイロットだ。さらに完全な自動運転は、今後10年をかけて進めていかなければならないだろう」(メーダー氏)
このような進化的なアプローチの一方で、一気に現行技術を飛び越える革新的なアプローチも考えられる。たとえばコネクテッド・パーキングは、自動運転の前に実現すると予想されている。事前に周囲環境を理解し、車両の移動も低速で済むからだ。
3つ目のネットワーク化に関しては、自動運転の大前提となるものだ。これは自動車のみならず、eバイクや電車など、マルチモーダルなどの運用も考えていく必要がある。車両がインターネットの一部としてシームレスにつながり、新たなコネクションが実現される。スマートフォンからアプリケーションを介して、ヘッドユニットに情報を提示したり、「SOTA」(Software Over-the-Air)や「FOTA」(Firmware Over-the-Air)などのコネクティビティ技術も進む。
メーダー氏は、マルチモーダルの事例のとして、同社のおひざ元であるシュトゥットガルトで実験されている「シュトゥットガルト サービスカード」について紹介した。「このカードは、バス・自動車・カーレンタル・eバイクのシェアリングにも適用することが可能だ。電動自動車のチャージングステーションにも使えるし、今後はモビリティ・ショッピングや、図書館での本の貸出など、地域全体で活用できるようにする」(メーダー氏)。
【次ページ】ビークルコンピュータとビークルクラウドをどう連携させるのか
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