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  • 2016/12/16 掲載

再編必至!地方テレビ局が高収益だった「カラクリ」が崩壊か

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テレビ業界は、久々に明るい話題で持ち切りとなっている。日本テレビのドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」は、全話10%代の視聴率をキープして最終回を終了。TBSの「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」は最高視聴率を更新中だ。だが、地上波テレビが抱えている構造的な問題が、これらの人気番組で抜本的に解決されるというわけではない。視聴者のテレビ離れはゆっくりではあるが着実に進んでおり、経営環境は厳しくなる一方である。今後、視聴率の低下がさらに進んだ場合、その影響が最初に顕在化するのは、おそらく地方のテレビ局だろう。キー局を頂点とする系列ネットワークには、キー局から収益を分配する独特の仕組みがあり、これが地方局の高収益を支えてきた。
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若年層のテレビ離れが深刻化している
(© beeboys - Fotolia)


視聴率の低下はジリジリと進む

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 よく知られているように、地上波のテレビ局は、本業の収入のほとんどをクライアントからの広告に依存している。テレビの世界においてもっとも重要な指標であり、広告料を算定する基準にもなっているのが視聴率である。

 まさにテレビ局の生死のカギを握っている視聴率だが、この数字は年々低下が進んでいる。関東地区における総世帯視聴率(6時~24時)は、1990年代には50%近くだったこともあるが、現在では40%を割るギリギリの水準となっている。

 もっとも、ここ数年に限ってみれば、視聴率はそれほど大きく減少しておらず、視聴率は下げ止まっているようにも見える。だがテレビ局にとってドル箱となるプライムタイム(19時~23時)の視聴率はジリジリと減少が続く。ここは、クライアントにとってもっとも重要な視聴者層であることを考えると、今後もテレビ局は視聴率の低下に悩まされそうだ。

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地上波テレビの視聴率と広告費の推移

 今のところ、テレビ局はあらゆる手法を駆使して広告料の確保を図っているので、企業としての業績は何とか現状を維持している。だがこれ以上、視聴率の低下が進むと、広告収入の減少を回避することは現実的に難しくなってくるだろう。そうなった場合、最初に影響を受けるのは、キー局の傘下にある地方局である可能性が高い。

 その理由は、地方局のほとんどが自ら番組を制作することをせず、キー局の番組をそのまま流すことで、キー局から広告料金の分配を受けているからである。

収益のカギを握るネットワーク分配金

 テレビ局の広告収入には、「タイム広告収入」と「スポット広告収入」の2種類がある。

 タイム広告は、個別の番組ごとに発生する広告で、広告主は番組内に設定された枠にCMを流すことができる。また番組中に「この番組はA社の提供でお送りします」という形で提供表示される。このような形式になっているのは、もともとテレビ番組というものが、広告主からの資金提供で制作されるものだったからである。

 一方、スポット広告は番組とは関係なく、局が定めた時間に放送されるCMである。番組と番組の間や、番組中の特定時間帯にスポットCM枠が設定されている。

 テレビ局の基本的な収益構造は、番組を提供してくれる広告主からの広告料金で基本的な番組制作費をカバーし、スポット広告で追加の利益を得ていくというイメージになる。

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キー局および地方局の収益構造

 タイム広告とスポット広告の比率はおおよそ半々となっており、この2つがキー局における放送収入のほとんどを占める。ちなみにキー局5社(TBS、フジテレビ、日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京)の2016年度における放送収入の合計は約9,000億円だった(これは純粋な放送収入なので各社決算の売上高とは異なる)。

 一方、支出面で最大の割合を占めるのは番組制作費である。制作会社への支払いやタレントの出演料はここに含まれる。次に大きいのは広告代理店への支払いである。広告代理店は広告主が支払う広告から約2割のマージンを徴収するので、実質的にテレビ局の収入となるのは残りの8割である。

 3つ目の支出項目が、地方局の経営を大きく左右するといわれるネットワーク費である。広告主に提示されるタイム広告の価格は、全国に視聴者が存在することが大前提となっている。キー局は傘下の地方局に番組を配信しているが、広告料金にはこれらの視聴者分が含まれているわけだ。

 したがって、キー局5社は広告収入の約15%、金額にすると1,300億~1,500億円程度を系列の地方局に分配している。これらをすべて差し引き、人件費や減価償却費などを引いた残りがキー局の利益ということになる。

【次ページ】分配金がないと地方局は存続できないが…
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