- 会員限定
- 2016/11/01 掲載
地方では銀行も限界か、再編が進むのには理由がある
人口減少と低金利が地銀の貸出業務に打撃
それによると、本業である貸出業務に伴う収益率がマイナスの赤字となるのは、地銀の6割以上に上った。2015年3月期でもざっと4割の地銀が赤字だが、これからの10年で地銀の2割が新たに赤字転落する計算になる。
マイナス幅が0.2%以上となるのは10行ほど。反対に収益増を見込めるのは全体の4割程度にとどまった。各地銀の体質に差があるものの、過疎地域を多く抱え、人口減少が深刻な地域の地銀ほど経営の先行きに不安がつきまとう傾向にあるという。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2010年に8,000万人以上いた15~64歳の生産年齢人口は、2025年になると7,000万人まで縮小する見通しだ。
高齢化が進んで預金減少のスピードは緩やかになると考えられるが、金融庁は貸し出し需要がハイペースで減少するとみている。預金をどれだけ貸し出しに回しているのかを示す預貸率は現在約70%。これが低下すると、利ざやの縮小に拍車がかかる。
地銀は今、本業の収益悪化を国債や株式の売却益で補い、利益を上げている。貸し出し業務の赤字がすぐに経営不安につながるわけではないが、地元の中小企業への積極的な融資や経営支援を強化しなければ、地銀経営が将来、成り立たなくなる可能性も否定できない。
金融庁は「このままでは従来の貸出業務から収益を得るのが困難になる。新しいビジネスモデルを確立させるよう各地銀に求めていきたい」としている。
起業支援や事業再生への融資を促す新指標も導入
金融庁はこれまで、合併、経営統合による体質強化を呼びかけてきたが、地銀の体質改善に向けて新たに打ち出したのが、地元企業にどれだけ役に立っているのかを示す新指標だ。金融庁は各地銀がこれを活用して起業支援や事業再生に積極的に乗り出し、地域経済に貢献するとともに、収益基盤を安定させることを求めている。新指標は地銀のほか、信用組合、信用金庫も対象に入り、
■創業に関与した件数
■経営が改善した取引先の数
■担保でなく、事業内容で判断して融資した数
など、全金融機関共通の5項目と、各行の経営方針に合わせて選択する項目など約50項目から成る。
今後、各金融機関に毎年、自己評価してもらい、結果を自主的に開示、企業が融資先を選ぶ際の検討材料とする。金融庁は評価結果を各金融機関と議論し、経営方針の改善に導きたい考えだ。
過度に担保へ依存した融資姿勢では、地域金融機関の収益確保が難しいうえ、資産はなくてもアイデアや技術を持つ経営者の起業を支援しにくく、地方創生にも貢献できない。その結果、地方経済がますます縮小し、金融機関の経営基盤を揺るがす悪循環を促進させる。
金融庁が地方企業を対象に実施したヒアリングでは、企業から「金融機関が担保しか見ていない」とする不満が多く上がっており、担保依存からの脱却は遅れている。
【次ページ】全国各地で相次ぐ地銀の経営統合
関連コンテンツ
関連コンテンツ
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました