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- 2016/06/08 掲載
HTAPとは何か?企業がインメモリ・コンピューティングを採用するための3つのポイント
ガートナーが解説
インメモリ・コンピューティングとは何か?
「IMCでは、データの記録にディスクやフラッシュメモリなどの媒体を使うのではなく、すべてのデータをメモリ内に保存することになる。つまり記録媒体まで『データを取りに行く必要がない』ということだ。これによってIMCは、ビジネスに2つのメリットを提供することになる」
その1つめが、スピードとスケールだ。
「すべてのトランザクションデータがメモリ内にあるので、ディスクからのリードおよびライトが不要になり、アプリケーションの実行速度は格段に速くなる。またスケールアップやスケールアウトもディスクベースより簡単で、投資コストも従来より低く抑えることができる。これらはデジタルビジネスをサポートする上で非常に重要な特徴だ」
デジタルビジネスの世界では、各種センサーやソーシャルメディアなど、処理しなければならないデータ量が膨大で、より速く意思決定するためにはこれらの大量データを即座に処理する必要がある。
「IMCでは、従来のデータベース系のアーキテクチャに比べて、10倍から1000倍の高速化を図ることができると言われている」
インメモリ・コンピューティングの活用事例、17時間を1分未満に
この企業では、73万6000件にも及ぶ保守計画のスケジューリングをERPで行っているが、これまではその処理を3日間に分割する必要があり、さらに処理の完了までに合計で17時間かかっていたが、IMCを活用することでこれを1分未満で終了できるようになったという。
「この会社が使っているERPはリアルタイム処理が可能だったが、この大量ジョブが走っている間は他ユーザーのパフォーマンスが劣化するために、夜間、3日に分けて処理を行う必要があった。いわばバッチ処理のような形だ。これをIMCのプラットフォームに移行したことで、少しのチューニングだけで1分未満で処理を終わらせることが可能になった。今では、これまで週次でしか策定できなかった保守計画をリアルタイムで作ることができるようになっている」
HTAP(エイチタップ)は、トランザクションとアナリティクスの壁を取り払う
そしてIMCのもう1つの大きなメリットが、アナリティクスを行う別の方法が得られることだ。「複雑なアナリティクスを、データマートやデータウェアハウスにあるデータを抽出して行うのではなく、ライブのトランザクションデータと同じデータセットを使って実行するもので、我々はこの方法をハイブリッド型トランザクション/アナリティクス処理(HTAP:エイチタップ)と呼んでいる」
今までのビジネスアプリケーションの世界では、ERPやCRMといったパッケージがリレーショナルデータベースの技術を使って、トランザクションの処理を行っていた。一方アナリティクスの世界では、データベースから必要なデータをキューブやマート、データウェアハウスに移行し、アナリティクスのツールを使うことになる。この2つの世界の間には大きな壁があった。
「トランザクションの世界からデータをアナリティクスの世界に持ってきて処理を行い、またトランザクションの世界に戻ってデータを書き換えることは非常に難しいし、時間もかかる。今までのような日次や週次、あるいは月次の処理ならそれでもいいが、デジタルビジネスの世界ではリアルタイム性が求められる。そこで有用となるのがHTAPで、HTAPは、トランザクションとアナリティクスの間にある壁を取り払ってくれるものだと言える」
【次ページ】IT部門の役割は今後大きく変わっていく
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