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- 2016/05/27 掲載
SAS 堀田徹哉社長「アナリティクスやデータの整備なくして、AIへは踏み込めない」
今世界で起きている4つの変化
そう切り出したのは、堀田氏に続いて登壇した米SAS Institute エグゼクティブ バイスプレジデント チーフカスタマーオフィサーのフリッツ・リーマン氏だ。
「環境変化に、迅速に対応できる企業、よりスピーディに変革をもたらすことができる企業、市場ニーズに対し、すぐに新製品をローンチできる企業が成功する確率が高くなる。今、世の中は急速に変化していることを再認識しなければならない」
たとえば現在、世界のデータ量が猛烈な勢いで増大している。500億台のデバイスが地球上にあり、データを生成し続けているからだ。データを見るスピード感も劇的に変わっており、さまざまなデバイスからストリーミングデータがどんどん入ってきて、すぐに対応する、あるいは処理するという状況が生まれている。
また、今の顧客は、自分の立場に応じて、好きな形でデータを分析したいと言い始めている。データサイエンティストもビジネスアナリストも、あるいはエクゼクティブも、各々に自分のやり方でデータ分析を行いたい、それも従量課金制で必要な時だけ、自分の環境で使いたいと考えている。
さらに顧客はアナリティクスのセルフサービス化も望んでいる。分析をするために、わざわざIT部門に電話をしたくない、自分の好きな時に分析作業をしたいという声が出てきている。
そして今、あらゆるモノがつながる世界になってきており、その際にどうやって儲けを出していくのかを考えていくことも、非常に重要なポイントとなっている。
「こうした4つの変化が今、世界で起きている。SASはENABLING TECHNOLOGIES、実現技術と呼んでいるが、データ+処理能力+Hadoop、ESP(Event Stream Processing)、インメモリ処理、ビジュアライゼーションという4つのテクノロジをベースに、先の変化によってもたらされる問題を解決していこうと考えている」(リーマン氏)
世界の変化に対応するためのSASの4つの実現技術
まず1つめのデータ+処理能力+Hadoopについて、リーマン氏は「SASではこの10年、アナリティクスの処理能力をできるだけデータのそばに置くことに注力している」と説明する。「そこでHadoopを活用することで、アナリティクスをデータと共存できるようにした。データを動かす必要がなくなることで、よりスピーディに分析処理を行うことが可能となる」(リーマン氏)
2つめのESP(Event Stream Processing)は、デバイスから生成された大量のストリーミングデータをリアルタイムに分析することができるテクノロジで、SASは昨年、ESP領域の製品として「SAS Event Stream Processing」の最新版を国内で提供開始した。
「SAS Event Stream Processingは、イベントストリーム処理によりビッグデータをリアルタイムに分析して、意思決定の迅速化を支援するソリューション」(リーマン氏)
3つめのインメモリ処理は、大きなタスクを迅速に処理できるテクノロジで、インメモリ処理を活用することで、たとえば今まで10日間かかっていた処理を、数分で完了できるようになる。
「処理スピードがアップするということは、より多くの処理を実行できるようになるということ」(リーマン氏)
そして4つめのビジュアライゼーションは、分析したデータを視覚化するためのテクノロジで、SASでは数年前に製品として「SAS Visual Analytics」をリリースしている。
「ビジュアルアナリティクス(VA)はSASにとっても、今後の市場にとっても重要な要素だ。我々はVAをベースに、将来のためのソリューションを組み立てている」(リーマン氏)
重視しているのはクラウド、統合、オープン化、シンプル&パワフル
ここ数年、SASでは4つの要素を重要視して、ソリューションを展開してきているという。それがクラウド、統合、オープン化、シンプル&パワフルだ。「ユーザー企業もまたこれらの要素を念頭に置いて、事業を展開しなければならない」(リーマン氏)
まずクラウドについて、今ではソフトウェアは固定されたハードウェアに実装するのではなく、クラウド上に置くことが求められるようになっている。柔軟性を確保し、利用ベースの課金が可能になるからだ。次に統合について、たとえばマーケターのニーズを満たすために、4つの異なるパッケージを利用するのではなく、1つの統合化されたソフトウェアで対応するということだ。またオープン化は、他のソフトウェアと容易に連携できることを指し、シンプル&パワフルは、ソリューションを簡単に展開でき、さらに革新的であることを指している。
「この4つの要素を盛り込み、今年4月に発表したのが、クラウド対応の新たなアーキテクチャであるSAS Viyaだ。SAS Viyaは、ハイパフォーマンスのアナリティクスとビジュアライゼーションを実現する次世代のオープンなアーキテクチャで、アナリティクス領域におけるSAS製品群の基盤となるものだ。いわばSASの将来のプラットフォームであり、今後我々はSAS Viya上で、どんどんソリューションを開発していく」
つまり今後、SASが開発するソリューションは全てSAS Viyaベースとなり、この上でSASの全ての製品を統合することが可能になるということだ。また各製品の実行環境も、パブリッククラウド、プライベートクラウドと、自由に選択することができるようになる。
「現在のSASのお客さまは十中、八、九、SAS 9を使われていると思うが、すぐにSAS Viyaに移行する必要はない。我々は引き続き、SAS 9をサポートをしていくし、SAS Viyaとの共存もサポートする。たとえばSAS 9でモデリングをした結果を、SAS Viyaに移行させることも可能だ。SAS Viyaの環境に移行することで、アナリティクス担当者は、自分のやりたいことをすべてこの中でできるようになる」(リーマン氏)
【次ページ】アナリティクスやデータの整備なくして、AIの世界へは踏み込めない
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