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フロスト&サリバンが「2016年ICTトレンド予測」 を発表した。同社ICTリサーチ部門 ディレクター マーク・アインシュタイン氏によると、2015年にはIoT活用が進んだものの、2016年にはまた新たに市場規模の拡大や、産業構造の変化が訪れるという。任天堂、テスラモーターズ、富士通、旭酒造、米国ディズニーにおけるIoT事例を織り交ぜ、1月20日に発表された同氏の見解をまとめる。
やはり伸びるIoTアジア市場、リーダーは依然中国、日本、インド
アインシュタイン氏によると、2020年に向け、アジア太平洋地域でのIoT市場が大きく伸びるという。2015年から2020年の市場成長率は26.8%と大きく、2015年に242億ドルだったアジア太平洋地域でのIoT投資総額は、2020年には793億ドルにまで拡大すると見込まれている。
「この地域でのIoT投資総額は大きく成長します。とはいえ、ソフトウェア、ハードウェア関連のIoT投資額はそれほど伸びず、成長の大部分がサービスによるものになるでしょう。というのも、ITのノウハウを持たない企業がIoTを導入し始めるからです」(アインシュタイン氏)
IoTに投資する業界としては、2015年、2020年共に物流、輸送業界の伸びが大きくなるというのがフロスト&サリバンの予測だ。ASEAN諸国によるIoT利用の急成長が注目されるが、依然として2020年まで投資をけん引するのは中国、日本、インドになる。
IoTの2015年と2016年
アインシュタイン氏は、2016年のIoTのカギを握る要素を下記の通り6つ挙げた。
(1) OT(運用技術)のクラウド化を進め、
加速させるための産業用クラウドプラットフォームの導入
(2) IoT関連ソリューションプロバイダーの各種連携
(3) デバイスをつなぐデータ活用への注力
(4) IoT活用のために、
ナローバンドネットワーク(低速ネットワーク)縮小と標準化の継続
(5) IoTが推し進める産業のサービス化
(6) 高まるセキュリティへの懸念
特に注目すべきは、データを集めるだけでなく、使うことが重要になるということ。また、IoT用のインフラの標準化の必要性が出てくるということだ。
「2015年は、『IoTとクラウドでデバイスやモノをつなげて管理する』というフェーズでしたが、2016年には、『データの活用』へとシフトしていくでしょう。実際に、マイクロソフト、シスコ、ブラックベリー、PTC、サムスンなどがパートナーシップ構築に向けて動いています。IBMはIoTに30億ドル出資すると宣言しました。ソフトバンクはAI・ロボティクスとIoTに関し長期的戦略を打ち出すことを発表し、2015年にはAIに対する投資が230億ドルに上りました。また、サムスン、ファーウェイなどの大企業がIoTプラットフォームの座をめぐって競争するでしょう」(アインシュタイン氏)
任天堂も注力するToy to Life:リアルなモノをデジタルな世界に持ち込む
IoTの活用は、BtoBビジネスだけの話ではない。アインシュタイン氏は、「Toy-to-life」というトレンドに言及した。「Toy-to-life」とは、ゲームと連動した製品を作り、物理的なおもちゃをネットにつなげることを指す。具体的には、amiibo(アミーボ)という製品に代表される。たとえば、マリオの形をしたamiiboをNintendo DSに載せると、ゲームの中で本来は設定されていないマリオを使って遊ぶことができる。
「Toy-to-life」に注力している企業としては、任天堂、Activision、LEGO、ディズニーが挙げられる。市場規模は2015年時点で40億ユーロに到達し、ゲーム企業のARPU(Average Revenue Per User:1ユーザーあたりの購入額)を上昇させたという。
「任天堂の財務諸表を改善した大きな要素はIoTです。物理的なものがバーチャルに転換されていくのが世界的なトレンドとなっています。これはゲームに限ったことではなく、他の製品でもおこるでしょう」(アインシュタイン氏)
【次ページ】IoTで分かれた明暗:テスラ VS GMのリコール事例
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