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- 2015/05/21 掲載
平均年収1,300万円超、なぜキーエンスは高収益なのか
営業利益率は驚異の53%

売上高の内訳は、国内向けが1,651億円で対前年比13%増、海外向けが1,689億円で対前年比41.9%増で、海外売上比率は初めて5割を超えました。
キーエンスでまず注目するべき数字は、その営業利益率です。53%と驚異的な数字をたたき出しています。この数字はどのぐらいすごいのでしょうか。
キーエンスでは現在、希少性の高いFA(ファクトリー・オートメーション)センサーの分野で、工場を持たないファブレスでの生産と販売をメインに行っています。
現在のキーエンスの事業で競合と言える企業には、大手電機メーカーのオムロンがいます。そのオムロンの売上高は2015年3月期の見通しで、8,350億円。規模としては、キーエンスより大きいのですが、営業利益は840億円の見込みで、営業利益率では10%程度の状態です。
それでもFA関連では三菱電機(7.3%)、安川電機(7.9%)を上回る水準にあります。高収益企業として有名なファナックでさえ、4割超であり、キーエンスの数字は極めて異色と言えるでしょう。
なぜキーエンスは利益率が高いのか
では高収益を実現するために、給料などのコストを抑えているのでしょうか。その点はまったくの逆で、「人件費は経費にあらず」との理念のもと、利益の1割は社員に還元するため、キーエンスの平均年収は1,300万円超と日本の上場企業の平均年収でトップクラスに高い給与水準を誇ります。通常、販売費および一般管理費(販管費)で占める主な費用は、この給与です。したがって、営業利益は高額な給与を支払った後の利益となるわけです。では、(販管費の)給与を支払う前の売上総利益率(売上総利益の売上高に対する比率)はどうかというと、なんと80%という数字になっています。つまり、原価20円のものを100円で売っているのです。
いずれにしても、キーエンスはなぜこんなにも高い利益率を誇るのでしょうか。
まずキーエンスでは、自社で開発した製品を他社が真似して、販売し始めたら、その製品の販売には力を入れないという戦略をとっています。これは、価格競争に巻き込まれないようにするためだと考えられます。
【次ページ】大量生産・大量消費ではない時代のものづくり
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