- 2014/10/21 掲載
ガートナーが10の予測 2018年デジタルビジネスの人数は50%で済むが、業務は500%増に
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人とマシンの協力と成長というアイデアを包含した、ガートナーによる2015年の重要な展望のトップ10は次のとおり。
- 2018年までに、デジタル・ビジネスに必要なビジネス・プロセス・ワーカーの数は従来のモデルの50%で済む一方、主要なデジタル・ビジネス業務は500%増える。
- 2017年までに、コンピュータ・アルゴリズムで考案された、重大で破壊的なデジタル・ビジネスが登場する。
- 2018年までに、業務運用の総合保有コスト (TCO) は、スマート・マシンと産業化されたサービスによって30%削減される。
- 2020年までに、ワイヤレス健康モニタリング・テクノロジの普及によって、先進国における平均寿命が0.5歳延びる。
- 2016年末までに、オンライン・ショッピングでは20億ドル以上がモバイル・デジタル・アシスタントによって実行されるようになる。
- 2017年までに、米国内の顧客によるモバイルを利用した購入行動によって、米国のモバイル・コマースの売り上げはデジタル・コマースの売り上げ全体の50%に達する。
- 2017年までに、デジタル・ビジネスモデルを成功に導いている企業の70%が、顧客ニーズの変化に合わせてシフトできるようにデザインされた、意図的に不安定なプロセスに依存するようになる。
- 2017年までに、消費者製品への投資の50%が、カスタマー・エクスペリエンスのイノベーションに向けられる。2017年までに、耐久消費財を扱うE-Tailer (オンライン販売のみの小売企業) の20%近くが、3Dプリンティングを使用してパーソナライズした製品を提供するようになる。
- 2020年までに、ターゲット・メッセージングと屋内測位システム (IPS) を組み合わせて活用する小売企業の売り上げは、5%増加する。
それぞれの詳細は以下の通り。
1.2018年までに、デジタル・ビジネスに必要なビジネス・プロセス・ワーカーの数は従来のモデルの50%で済む一方、主要なデジタル・ビジネス業務は500%増える。
消費者の行動は、ソーシャル・メディアとモバイル・テクノロジーの急速な進化によって動かされている。
このような行動のトレンドとこれらをサポートするテクノロジによって、私たちの日常生活には大きな変化がもたらされる――。
たとえば、冷蔵庫が食料品を発注し、ロボットが注文された商品をとりまとめ、ドローン(無人航空機)が商品をドアまで届けることによって、店員や配達ドライバーの必要性がなくなる。
この新しいデジタル・ビジネス環境によって企業の雇用動態と共にビジネス・プロセスは大きく変化し、すべての業種を通じて消費者と供給者の両方に対して高いコンピテンシが求められるようになる。
2.2017年までに、コンピュータ・アルゴリズムで考案された、重大で破壊的なデジタル・ビジネスが登場する。
短期予測:2015年を通じ、最も高い価値をもつ新規株式公開 (IPO) は、デジタル市場と物理的ロジスティクスを組み合わせることで、純粋に物理的な従来のビジネス・エコシステムに挑戦するような企業に関連したものとなる。たとえば、配車サービスのUberや宿泊サービスのAirbnbといった、グローバル市場を構築した企業に見られるように、世界の経済環境の機は熟し、デジタルによる破壊が起き、既存の交通機関やホテルのビジネスを脅かしている。
これらの企業によってネットワーク効果 (参加者が増えるごとに価値が高まる環境) が実証され、自然の流れとしてこれらの企業による寡占化が進むことになる。
実際、このような動きの前には非常に複雑な規制や市場ダイナミクスが立ちはだかり、これらがコンピュータによる分析を受け入れる素地へとつながっていく。
一方、このようなモデルの資産創出面における成功 (創業5年未満の企業に対する数百億~数千億ドルに上る査定評価) は、資本投資にとって抗し難い魅力となる。
3.2018年までに、業務運用の総合保有コスト (TCO) は、スマート・マシンと産業化されたサービスによって30%削減される。
短期予測:スマート・マシンと産業化されたサービスを活用したマネージド・サービスを商業的に提供するベンダーは、2015年までに40社を超える。時と場所、チャネルを選ばず、より迅速に、より安く、より質の高い製品やサービスを求める消費者のニーズは、デジタル・ビジネス革命を促進する要因になっている。
ビジネス・プロセスおよび企業のバリューチェーン全体は、テクノロジが支える労働主導の環境から、人が支えるデジタル主導のモデルへとシフトするでしょう。デジタルな成果を解釈し、船のかじを取るという重要な役割は依然として人が担う必要があり、スマート・マシンが取って代わることはない。
このように、スマート・マシンは労働力に取って代わるものではなく、独善性と非効率性を排除し、ビジネスのスピードを飛躍的に高める役割を果たすものになる。
消費者が、ビジネスの効率を高め、時間管理を最適化する手段として、インターネットとモバイル・サービスを活用したいと考えている中、すべての業界がエンド・ツー・エンドのプロセスの簡素化、自動化、インテリジェント化を進め、手作業の介入を最小限に抑えながら消費者のセルフサービスを促進することで、カスタマー・エクスペリエンスの質を高めようとしている。
4.2020年までに、ワイヤレス健康モニタリング・テクノロジの普及によって、先進国における平均寿命が0.5歳延びる。
短期予測:2017年までに、スマートフォンの活用によって糖尿病のケアに伴う費用が10%減少する。ウェアラブル・モニタには、非常に大きな可能性がある。今日、簡単なリストバンドで脈拍数や体温、その他さまざまな環境要因に関するデータを収集することができるが、無線式の心臓モニタリング・パッチ、スマート・シャツ、またアクセサリに内蔵されたセンサなどによって、より高い精度、広い選択肢、快適性が着用者にもたらされる。
このようなワイヤレスによるデータ伝送はシンプルで、大規模なクラウド・ベースの情報リポジトリと関連付けることによって、制限されている行動を確認したり、ソーシャル・ネットワークと関連付けることによって実例に基づくアドバイスを受けたりすることが可能になる。
このようなリモート・モニタリング・デバイスからのデータは、患者から医師へ継続的なアクセスを提供するという。
5.2016年末までに、オンライン・ショッピングでは20億ドル以上がモバイル・デジタル・アシスタントによって実行されるようになる。
短期予測:2015年末までに、たとえば氏名や住所、クレジットカード情報の入力といった戦術的にありふれたプロセスは、モバイル・デジタル・アシスタントによって実行されるようになる。食料品の補充のような一定の固定されたイベントが一般的になり、この種のアシスタントに対する信頼性が高まって、より活用が進むだろう。
2016年までに、新学期用のバックパックの購入や連続するイベントのスケジューリング (記念日にふさわしい、評判の良いデート向きの映画、ディナー、自動車の送迎など) といった、より複雑な購買の意思決定も簡単に実行できるようになる。
モバイル・アシスタントによる自主的な購入額は年間20億ドルに達する見込み。これは、モバイル・ユーザーの約2.5%がモバイル・アシスタントを信頼し、年間50ドルを使用した額に相当する。
デジタル・アシスタントはさまざまなプラットフォームで提供されるが、最もアクセス性に優れ、デジタル・アシスタント向けのデバイスとして普及することが見込まれるのは、モバイル・プラットフォームであり、2016年末までにキラー・アプリケーションとなるだろう。
6.2017年までに、米国内の顧客によるモバイルを利用した購入行動によって、米国のモバイル・コマースの売り上げはデジタル・コマースの売り上げ全体の50%に達する。
短期予測:2015年は、モバイル・コマースが大幅に増加するとともに (Apple Payの登場や、GoogleによるNFC対応Google Walletの普及促進など、競合各社による同種サービスの提供も増加要因の1つである)、モバイル・ペイメントに対する関心があらためて高まるだろう。スマートフォンとタブレットの高機能化と、これに伴う高品質で強力なアプリケーションによって、消費者とビジネス・ユーザーは事実上購入プロセスのあらゆる段階で、企業やコンテンツ、ショッピング環境とシームレスにやりとりすることが可能になる。
デバイス・メーカーとアプリケーション開発企業が利便性と機能性を高めながらセキュリティに対するユーザー・ニーズを満たしていくことで、ユーザーにとって必須のツールとしてのこれらデバイスの重要性も高まる。
これは特に若年層に当てはまり、生まれたときからインターネットを通信、情報、トランザクションのプラットフォームとして利用し、モバイル・デバイスを使いこなしてきた若年層は、常にオンラインで、チャネルのタイプによる制約のないショッピング・エクスペリエンスを、サービス・プロバイダーと小売企業に期待している。
7.2017年までに、デジタル・ビジネスモデルを成功に導いている企業の70%が、顧客ニーズの変化に合わせてシフトできるようにデザインされた、意図的に不安定なプロセスに依存するようになる。
短期予測:2015年末までに、グローバル企業の5%が、競合優位性をもたらす「supermaneuverable (卓越した操作性)」なプロセスを定義する。ビジネスモデルを革新した結果、一部のビジネスモデルを意図的に不安定にしなければならなくなる。「意図的に不安定なプロセス」とは、変化に対応できるように考えられたプロセスを指し、顧客ニーズの変化に合わせて動的に調整していくことができる。
こうしたプロセスが必須である理由は、顧客ニーズの変化に合わせてシフトできる優れた俊敏性(アジリティ)、適応性、「supermaneuverable (卓越した操作性)」を兼ね備えているためだ。このような卓越した操作性のプロセスの背後には、より大きくより安定したプロセスがある。
顧客とのやりとりは、予測不可能であり、より大きくより安定したプロセスを継続させるために、時宜に応じた意思決定が求められる。こうした顧客とのやりとりをサポートできる上述のプロセスは、競争上の差別化要因となる。
このようなプロセスは一般的に、競合他社が真似することはできない。意図的に不安定なプロセスは、企業と従業員がより流動的に変化に対応する能力の大幅なシフトを必要とする。
より迅速に変化する能力では、「組織の流動性」というコンセプトが活用される。ビジネスモデル、プロセス、テクノロジ、人が混じり合う、この全体論的なアプローチによって、デジタル・ビジネスの成功が促進される。
8.2017年までに、消費者製品への投資の50%が、カスタマー・エクスペリエンスのイノベーションに向けられる。
短期予測:2015年までに、既存の消費者製品の半分以上が、オンライン環境でネイティブに購入できるようになる。多くの業種では、熾烈な競争によって従来の製品やサービスが持っていた優位性がなくなり、カスタマー・エクスペリエンスが競争の新たな戦場になった。
これが最も顕著なのが消費者製品市場で、検索を通じた価格情報や製品情報へのアクセスといった利便性により極端なコモディティ化を強いられ、またさまざまなソーシャル・チャネルによってブランド・ロイヤリティの低下に見舞われている。
現実として、新しい製品 (場合によっては新しいビジネスモデルまでも含む) のイノベーションに重点を置くことにより、競合優位性の保てる期間の減少につながり、数多くの競合他社と代替品、また製品のイノベーションによってコモディティ化が促進される。
しかし、永続的なブランド・ロイヤリティの秘訣がカスタマー・エクスペリエンスであることには、変わりがない。
9.2017年までに、耐久消費財を扱うE-Tailer (オンライン販売のみの小売企業) の20%近くが、3Dプリンティングを使用してパーソナライズした製品を提供するようになる。
短期予測:2015年までに、耐久消費財を扱うE-Tailerの90%以上が、「パーソナライズした」製品を提供する新しいビジネスモデルをサポートするために、外部とのパートナーシップを積極的に求めるようになる。従来の既存の製造プロセスとの比較において、3Dプリンティングは既にスタートアップ企業においてインフラ・コストの削減に大きな効果を発揮している。製品の外観や機能をよりパーソナライズしたいという消費者ニーズの高まりに伴い、E-Tailer各社は従来の簡単な「組み合わせ可能な」製品から3Dプリンティングによって実現可能になった「パーソナライズされた」受注生産製品への移行がもたらすビジネスの可能性を認識するようになっている。
耐久消費財のほぼすべてのカテゴリにおいて、3Dプリンティング対応のパーソナライゼーションは大きな高まりを見せるようになり、メーカー各社はより設計に近い場所へ消費者を呼び込む環境を整えるようになるだろう。
この戦略を早期に確立した企業は、それぞれが事業展開しているカテゴリにおいて、その分野をリードする存在になる。これを実現するためには、規格外の製品を受け入れる社風、フロントオフィスの新しい「コンシェルジュ」ビジネス機能、バックオフィスのITおよび運用スキルが不可欠となる。
また、柔軟性に欠けるプロセス・オートメーションを超えたこれまでにない俊敏性が求められるとともに、場合によってはまったく新しいビジネス・システムが必要となることもある。
10.2020年までに、ターゲット・メッセージングと屋内測位システム (IPS) を組み合わせて活用する小売企業の売り上げは、5%増加する。
短期予測:2016年までに、顧客の位置と店舗内で過ごした時間に焦点を当てた小売企業からの引き合いが増加する。モバイル・デバイスの利用の広がりによって開かれた大きなビジネス・チャンスを有効活用するため、デジタル・マーケターは、モバイル広告と高度なアナリティクスにこれまで以上に焦点を当てている。
この環境で中心的な役割を果たすのが「コンテキスト (状況依存)」情報であり、消費者の最近の購入実績や購入習慣、居住地、関心の対象などに基づく高度なターゲット広告を提供することが可能になる。
これらすべてのデータの中において、最も重要なコンテキストを提供するものの1つが現在地情報だ。デジタル・マーケターはマッピングを利用しているが、その利用方法は依然としてシンプルな方法に限られている。
このような中、最近になって実行可能性が高まってきているのがIPSだ。衛星ではなく低消費電力のBluetoothビーコンとWi-Fiアクセス・ポイントを利用するIPSは、屋内のモバイル・デバイスの位置を数センチメートルの精度でピンポイントに特定する。
IPSをサポートする新しいモバイル・デバイスによって、位置情報に基づくターゲット広告とメッセージが可能になるとともに、リアルタイムのマッピングによって店舗内の適切な場所だけでなく、具体的な製品へ誘導することが可能になる。
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