- 2025/03/10 掲載
野口悠紀雄が教える「ChatGPT活用術」、強力な情報を「爆速で得る」重要方法
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
経験談:ChatGPTに「記事の誤り」を指摘してもらう
当初のChatGPTは、事前学習の範囲でしか答えてくれなかった。その答えは間違いである可能性があった。その後、プラグインでWeb検索が可能になったが、使い勝手はあまり良くなかった。ところが2024年の秋から、ユーザーの質問に対して、最新のWeb情報に基づいた回答を提供できるようになった。サイトのURLも教えてくれる。これは、ChatGPT Searchと呼ばれているサービスだ(ただし、提供される情報の信頼性が利用される情報源に依存していることはいうまでもない)。
ChatGPT Searchによって、これまでできなかったことができるようになった。その1つは、書いた文章をChatGPTに読んでもらい、「次の文章で事実に反する記述があれば、指摘して訂正してください」と依頼することだ。誤りがわかるだけでなく、そこから新しい発見が導かれる場合もある。
私の経験を述べよう。ある記事で、「アメリカ国内で電子部品を生産するのはもはや不可能」と書いた。ところが、ChatGPTにチェックしてもらったら、「Apple Pro Macはアメリカで生産されている」と指摘された。
「Apple Pro Mac」という検索語が分かれば、詳細を検索エンジンで確かめるのは簡単だ。検索エンジンで調べたところ、たしかにその通りだった。それだけではなく、「メイドインアメリカを標榜したPro Macだったが、専用ネジの生産が間に合わなかったために約束した発売時点に間に合わなかった」というエピソードも知ることができた。
私が書いていた文章は、アメリカがファブレス化していることを指摘しようというものだったから、これをサポートする強力なエピソードを得たことになる。
こうした使い方は、広く応用可能だ。企業でも、外部に公表する文書は事前に内容をChatGPTにチェックしてもらい、事実に反する内容がないことを確認するのが良いだろう。
ChatGPTに「悪魔の証明」をしてもらう
「悪魔の証明」というのは、「〇〇は存在しない」という証明だ。こうした証明は、きわめて難しい。「〇〇という条件を満たすものは存在する」という命題は、1つでも証拠を見つければ主張できるが、「〇〇という条件を満たすものは存在しない」と主張するためには、すべての対象をチェックしなければならないので、断言できない場合が多い。うっかり書いてしまって、後になって指摘されたら、訂正文を出さなければならない。
そこで恐らく大丈夫だろうとは思いつつも、「私の知る限りでは、存在しない」とか、「存在しないと言われている」というような表現になってしまう。迫力がないこと、おびただしい。
ところが、悪魔の証明が含まれている文章をChatGPTにチェックしてもらい、指摘がなければ、一応は大丈夫と考えることができる(もちろんChatGPTが見つけられなかったが、実際には存在するということもあり得るが)。
以上では、誤りの指摘や悪魔の証明を例にとって、従来ほぼ不可能だった情報収集が、いまやできることを述べた。有用なのは、これらだけではない。もっと重要なのは、次のページで述べることだ。 【次ページ】漠然とした問いから「専門外の情報」を教えてもらう
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