- 会員限定
- 2014/04/21 掲載
“鮮魚流通のアマゾン”を目指す八面六臂 レガシーな業界で見つけた勝ち筋とは?
日本人は、本当に新鮮な魚を食べているのか
しかし、ふだんの和食文化がそこまで豊かかというと、そうでもないような気がする。特に鮮魚に関しては、ほんとうに新鮮な魚料理をリーズナブルな価格で食べられる飲食店は限られるからだ。
それはなぜか。たとえば、リーズナブルを謳うチェーン店は、センター集中で量を確保することを優先する傾向にある。そこでは冷凍ものや養殖ものでもヨシとする。
一方の個人店では、おいしい魚を目利きできる料理人はいるが、数が限られている。そして、それを組織で形式知化できていないのだ。また、これまで鮮魚流通は何十年にもわたって供給者都合で構築されており、飲食店が欲しいものがあっても、思うように手に入らないなど、理由はさまざまだ。
“鮮魚流通のアマゾン”として脚光を浴びる
「全面否定するわけではありませんが、回転率や利益率だけしか頭にない名ばかりの飲食店やチェーン店は“つぶれてしまえ”と思っています」少々過激な発言ではあるが、代表取締役の松田 雅也(まつだ まさなり)氏はそう言い放つ。こうした状況に疑問を感じ、松田氏が立ち上げた水産業ITベンチャーが八面六臂株式会社である。
同社が標榜するのは“鮮魚流通のAmazon.com”だ。最新の鮮魚情報を満載し、ITに詳しくなくても、飲食店の注文担当者がパパっと操作して注文できるiPadアプリケーションを開発、これを搭載したiPadを“置きカタログ”として飲食店に無償貸与するのだ。
各飲食店から送られてきた注文は、同社が取りまとめて中央市場や日本全国の産地から買い付けを行い、届いた魚を築地に持つ自社物流センターで分配、梱包して配達している。
また同社は、注文情報がデジタルデータであることを活用し、これを蓄積・分析して、供給者側と交渉する上での強みとするとともに、飲食店に対しても鮮魚の流行情報や利益の上がる料理情報や盛り付け情報などという形で提供する。
具体的な仕組みはこんな感じだ。鮮魚情報は毎日16時に更新される。注文担当者が閉店後の深夜、iPad上の画面から発注すると、夜が明けた6時から13時の間にはもう当該の品が店舗に届く。
八面六臂の登場によって、街場の飲食店が食材調達の利便性とスピードを上げ、鮮度の高い旬の魚や自分たちを他店と差別化できる魚を必要な量だけ仕入れられるようになった。当然、このビジネスモデルは“おいしさ”にこだわる飲食店に大歓迎され、同社は顧客数、業績を急激に伸ばしている。
【次ページ】楽天モデルではなくAmazonモデル
関連コンテンツ
関連コンテンツ
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました