0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
東日本大震災と、それによる原発事故の影響から生じた電力不足は、夏本番を迎え、ますます深刻化している。企業としてできる限りの節電が求められている中、電灯や空調だけでなく、PCの消費電力は無視できないだろう。そこで今回は、各PCメーカーが低消費電力をうたう「省電力PC」について、単純な消費電力だけでなく、電源管理ソフトウェアの充実度なども含めた省電力性を中心に比較していこう。加えてパフォーマンス、サイズ/インターフェイスといった使いやすさ、運用/セキュリティ機能など、ビジネスPCとしての総合力も検証していく。
(製品比較の機種選定・比較は、ソフトバンク ビジネス+IT編集部が実施しています)
PC選びの最重要要素として「省電力性」が浮上
東日本大震災の影響で、我々は改めて電気の重要性を思い知らされた。この7月1日から、東京電力と東北電力管内では経済産業省から罰則付きの「電力使用制限令(電気事業法第27条による電気の使用制限)」が発動されており、夏を迎えて電力問題は深刻さが本格化してきている。東日本に住んでいる方ならば、個人法人問わず、節電の意識が高まっていることを身をもって実感していることだろう。さらに西日本でも、関西電力がピーク時の節電を要請しており、原子力発電関連政策の動向などによっては他の地域も予断を許さない状況になってきている。
こういった社会環境を受けて、PCを導入する際の大きなポイントとして浮上してきているのが、「省電力」という要素だ。電力仕様制限の対象になっている大口需要企業はもちろんだが、対象外の企業でも重要性は変わらない。
PCの消費電力が下がれば発熱が下がり、室温も下げることができる。そのぶん冷房の必要性も減り、エアコンを低い設定温度にすることも可能になり、PCとエアコンの電力を二重に削減できることになる。電力コストの面からもメリットが大きく、企業経営者や設備担当者にとって、PCの省電力性は重要な検討課題と言えるだろう。
また、節電を考えたとき、最新のPCを導入することは非常に効果的な手段と言える。というのも、CPUや電源ユニットを始め、PC各部品の電力効率はここ数年の間に格段の進歩を見せており、最新のビジネスPCの消費電力は、数年前の製品と比べて確実に下がっている。マイクロソフトの調べによると、5年前のデスクトップPCと最新のデスクトップPCを比較すると、平均53%も消費電力が低いという。これから新規導入するPCだけでなく、古いPCからのリプレイスも大きな節電効果があることがわかる。
ただ、ビジネスで利用するPCということを考えると、省電力性能だけが優れていても導入には踏み切れない。従業員の生産性を左右するパフォーマンスや、サイズ/インターフェイスといったPCとしての使いやすさ、運用/セキュリティ機能など、ビジネスPCとしての総合力も検証していく。今回のチェックポイントは以下の通りだ。
5社6機種の省電力デスクトップPCを比較検証
企業からの節電へのニーズがかつてないほどに高まっていることは、PCメーカーも承知しており、各社の省電力や電力管理機能の装備をうたう製品も増えてきている。そこで今回は、電力効率に優れていると評価の高いインテルの「Sandy Bridge」こと、第2世代インテル Coreプロセッサーを採用した製品を中心に、各メーカー5社6台の省電力デスクトップPCを集めた。最新製品の中でも最も節電ニーズに適した製品はどれか、実測の消費電力や電力管理機能を中心に検証していきたい。
今回取り上げる機種は、デル「Optiplex990 USFF」、日本電気(以下、NEC)「Mate ME」、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)「HP Compaq 8200 Elite US/CT Desktop PC」、富士通「ESPRIMO D570/B」「ESPRIMO D751/C」、レノボジャパン(以下、レノボ)「M91p Eco UltraSmall」の5社6機種である。
表1■今回取り上げる省電力PC |
機種名 | Optiplex990 USFF デル | Mate ME NEC | HP Compaq 8200 Elite US/CT Desktop PC 日本HP |
本体画像 | | | |
概要 | 横幅65mmのウルトラスリムなボディをもつ省スペースデスクトップPC。最新の第2世代Core iシリーズの採用によりパフォーマンスと省電力性の高いレベルでの両立を実現するほか、メンテナンス性に優れた構造を採用している | NECのコンパクト型デスクトップPCのハイエンドモデル。電力測定機構を内蔵しており、付属ツールで消費電力の表示が可能。柔軟なカスタマイズに対応しており、USB3.0ポートを追加することも可能 | 充実したセキュリティ機能や電力管理機能を備えた薄さわずか66mmのウルトラスリムな省スペースデスクトップPC。別売りのモニターマウントキットを使えば、ディスプレイの背面に据え付けて使うことが可能だ |
CPU | Core i5-2400S(2.50GHz) | Core i5-2400S(2.50GHz) | Core i5-2400S(2.50GHz) |
メモリ | 2GB(2GB DIMM×1) | 2GB(2GB DIMM×1) | 2GB(2GB SO-DIMM×1) |
HDD | 2.5インチHDD(7200rpm) 250GB | 3.5インチHDD(7200rpm) 250GB | 2.5インチHDD(7200rpm) 160GB |
OS | Windows 7 Professional SP1(32bit) | Windows 7 Professional SP1(32bit) | Windows 7 Professional SP1(32bit) |
機種名 | ESPRIMO D570/B 富士通 | ESPRIMO D751/C 富士通 | M91p Eco UltraSmall レノボ |
本体画像 | | | |
概要 | 省電力性能に優れたモバイル向けデュアルコアCPU「Clarkdale」(開発コードネーム)を採用し、消費電力を大幅にカットしている。長寿命部品の実装などにより、24時間連続稼働を想定した高信頼性モデルも用意されている | 第2世代のCore iシリーズを採用し、高パフォーマンスと省電力を両立した富士通のコンパクト型デスクトップPCのハイエンドモデル。細菌の増殖を抑える銀系抗菌剤の働きで長期にわたって清潔さを保てる抗菌キーボードや抗菌マウスを装備するヘルスケアモデルが用意されているのも特徴 | 先進的なツールフリー構造をもつウルトラスリムな省スペースデスクトップPC。人間工学に基づいたエルゴノミクスデザイン設計を採用しており、アクセスしやすい位置にインターフェイスポートを装備していることも特徴だ |
CPU | Core i5-520M(2.40GHz) | Core i5-2400(3.10GHz) | Core i5-2400S(2.50GHz) |
メモリ | 2GB(1GB SO-DIMM×2) | 2GB(2GB DIMM×1) | 2GB(2GB SO-DIMM×1) |
HDD | 2.5インチHDD(7200rpm) 160GB | 3.5インチHDD(7200rpm) 160GB | 3.5インチHDD(7200rpm) 320GB |
OS | Windows 7 Professional SP1(32bit) | Windows 7 Professional SP1(32bit) | Windows 7 Professional SP1(32bit) |
各メーカーともCTOに対応しており、大まかなスペックを調整することができるため、大きな違いが生じないように選択している。富士通の製品はモバイル向けアーキテクチャを採用するものとデスクトップ向けアーキテクチャを採用する製品があるため、2機種を取り上げている。また、各PCのCPUは基本的にCore i5-2400Sで統一しているが、富士通の両機ではこれが選べないため、選択できる中からできるだけ近いものということで、D570/Bではモバイル向けのCore i5-520M、D751/CではCore i5-2400を選んでいる。
関連タグ