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- 2022/04/06 掲載
今後10年でおよそ10兆円、インテルが欧州で半導体開発・製造能力を強化する背景
半導体不足とサプライチェーン強化の動き
世界的な半導体供給不足が叫ばれ始めてから数年経過したが、この状況が短期間で改善する見込みは薄い。格付け会社フィッチはこのほど発表した世界半導体市場2022年予測で、同年の半導体供給不足問題は、2022年下半期には若干緩和する可能性があるとしつつ、改善への道のりはスムーズなものではないとの見方を示している。
世界の半導体供給不足は、短期的な要因だけでなく、さまざまな長期的な要因が絡み合い深刻化している。短期的な問題を取り除くだけでは、根本的な問題解決に至らないようだ。
半導体供給不足を引き起こしている主な要因として挙げられているのは、コロナパンデミック、米中貿易紛争、台湾の水不足など。
コロナパンデミックでは、ロックダウンによる半導体製造の停止に加え、リモートワークシフトに伴うコンピューター利用の増加によって、半導体の需給バランスが著しく影響を受けた。
また、米中貿易紛争においては、米国が中国最大の半導体企業SMICに対する規制を強化したことが世界の半導体供給に影響を与えたとされている。これにより、台湾TSMCや韓国サムスン製の半導体需要が高まったが、現在の生産体制では、新たな需要に対応できない状態となっている。
さらに2021年2月に米国テキサス・オースティンで発生した寒波の影響で、サムスンの半導体サプライチェーンが混乱したほか、世界最大の半導体企業である台湾TSMCが国内の水不足問題の影響を受けたことで、半導体供給が乱れるなど、自然災害も世界の半導体供給に影響を与える要因となっている。
欧州投資を加速するインテル
半導体業界団体SEMIのまとめによると、半導体製造市場で最大シェアを占めるのはTSMCで、その割合は24%だ。このほかサムスン、台湾UMCなどがシェアの多くを占めており、2020年世界の半導体製造市場の79%をアジア企業が占有していたという。この地域的な偏りをなくし、リスクを分散しようという動きが半導体大手企業の間で加速中だ。
インテルはこのほど欧州における半導体ビジネスを拡大する計画を発表。今後10年間で800億ユーロ(約10.9兆億円)を投じる長期計画であり、手始めに170億ユーロ(約2.3兆円)を投じドイツに半導体の大型製造拠点を開設するという。またフランスに研究開発拠点を新設するほか、アイルランド、イタリア、ポーランド、スペインにも研究開発や製造拠点を開設する計画だ。
ドイツへの投資計画では、マクデブルクに大規模製造拠点を2カ所建設する予定という。欧州委員会の許可が下り次第、早急に建設工事を開始する計画で、現時点では2023年の建設開始、2027年の運営開始を見込んでいる。建設では約7000人の建設人材、建設後には約3000人のハイテク人材の雇用が生まれるという。
【次ページ】インテル、生産能力だけでなく欧州での研究開発機能も強化
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