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  • 2008/02/15 掲載

【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(5)企画書デザインはカラーが決め手

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年の初めに一眼レフ用のマクロレンズを買いました。最近、企画書用のイメージ写真で適当なものを探していたのですが見当たらず、それではと植物園の年間パスポートを購入して花の近接写真を始めることにしたのです。そうして撮ってみるといろんな発見があります。今回は趣向を変え、花の写真を使って、企画書のカラーの選び方と上達のコツについて説明することにしましょう。

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執筆:竹島 愼一郎

なぜ企画書にカラーをつけるのか

 企画書をモノクロで作成し、モノクロでプリントアウトし、モノクロイメージで提案する風潮がまだ残っているようです。それ自体なんら問題ではありません。内容のない企画をカラーでごまかすよりずっといいからです。

 ただそこで考えてほしいのは、その企画が何を意図したものであるか、ということです。たとえば、エコロジーや環境問題に取り組んだ企画だと、やはり色は緑色を基調にするのがふさわしく、そのほうがイメージを明確に打ち出すことができます。同じように、みずみずしさや海、空のイメージは青以外にうまく表現できるものがありません。

 これらの例は、私たちが日常生活で自然界と接するなかで共有化する一般的な認識で決まってくるもので、それをうまく利用することによって、企画書の「色合い」をより鮮明にすることができます。

 「企画書は内容で決まる」というのは確かです。内容のない企画、つまり通るだけの内容をもともと持っていない企画を企画書にするのには無理があります。しかし同じ企画内容でも、見た瞬間「読んでみたいと思う」企画書とそうでない企画書とでは、大きな違いが生じます。企画書とは企画内容を理解してもらうためのものなので、見た目の印象が良いほうが内容へとスムーズに導くことができます

 「見た目の印象が良い」というのは「感じが良い」ということです。逆に言うと、そこに拒絶反応を示さないということで、受け取った人は「なんだかわからないけど、悪い印象ではない」と感じていてくれているのです。企画書では、この「なんとなく良い感じ」という漠然とした感覚が意外に重要なのです。

 人に対してもそういうことはいえるでしょう。第一印象で「この人はどことなく尊大なところがある」とか「そぶりが大仰で、裏がありそう」と思ってしまうと、それ以降も不信感はぬぐい去ることができないものです。それに対して、一目で「感じが良い」と思った人に対しては、「それではどういう話かお聞きしましょう」とこちらからうながしたくなるものです。つまり、人でも企画書でも、早期にシンパシー(共感)を持ってもらったほうが絶対に有利だということです。


※クリックで拡大
前回取り上げた企画書に、下記の花の配色を採用
 企画書の第一印象を決定づけ、企画内容をスムーズに理解してもらえる決め手となるのがカラーです。

 右図は、前回取り上げた企画書にカラーを施したものですが、花の写真の色合いをそのまま使った配色にしてみました。没個性だった企画書が独自の顔を持ったことがわかるでしょう。そう、企画とはオリジナルでユニークなものでなければならないのと同じく、企画書には独自の「顔」というものがあってしかるべきなのです。


【知財/知識活用】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(5)企画書デザインはカラーが決め手
左の花の写真の色合いを用いて、右の配色を上記企画書に採用



どのように色を組み合わせるか

 企画書の色を選ぶとき最初に決定するのは中心になるカラーです。これを基調色(Key Color)といいます。企画書にはかならずテーマがあるはずなので、「エコロジー=緑色」といったようにそのテーマにふさわしい色を中心に組み立てていきます。

 「1枚企画書」はテキストを四角形などのブロックで囲むというのが基本です。これをきれいに見せるには、薄い地の色に、その色を濃くした枠線をつけます。こうすると、絵として「かっちりした」印象に仕上がります。

 このように1つの色を選んだら、その濃淡をキーカラー(基調色)に据え、全体を構成するというのがコツです。どうしてそうするかというと、色数はできるだけ抑えたほうがシックできれいに見えるのと、その色独自の世界観が出しやすくなるからです。たとえば緑色で全体が構成されていると「地球にやさしい」とか「生命力にあふれている」というイメージを強く印象づけることができます。


※クリックで拡大
下記の花の配色をもとに、基調色と同系色を決定
 ただ、濃い緑、緑、薄い緑といったように濃淡のみで構成すると単調なイメージは避けられません。そのようなときには基調色と同系統の色をうまく組み合わせます。これを同系色(Similar Color)といいます。たとえば緑色なら隣の黄色系の色をうまく組み合わせます。これも前回取り上げた企画書で試してみましょう。


【知財/知識活用】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(5)企画書デザインはカラーが決め手
左の花の写真の色合いを用いて、右の配色を上記企画書に採用


【知財/知識活用】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(5)企画書デザインはカラーが決め手
「色相環」に基づくカラーパレット
 すべての色合いを360度の円上に配置したものを「色相環」といいます。PowerPointの「塗りつぶしの色」や「線の色」のカラーパレットはこの「色相環」の色を代表的な色で置き換えたものです。基調色とその同系色はここでの配置で確かめ、決定することができます。

 上の例でもうひとつ注目してほしいのは、強調したいテキストに別の色を用いたという点です。これは強調色(Accent Color)といって、基調色、同系色とは正反対の色合いで、インパクトをつけたいキーワードなどに施します。赤色がもっともオーソドックスですが、基調色との相性によってオレンジ色になったり、マゼンタ(濃いピンク)を採用したりします。この反対の色合いを補色(Complementary Color)といいます。

 企画書で基調色というと、青、緑、紫といった寒色が好まれます。理由は寒色のほうが落ち着いた印象を与えるのと、キーワードなどを強調するとき、赤をはじめとした暖色のほうがインパクトがあるからです。

 「1枚企画書」に限りませんが、基調色、同系色、それに補色(反対色)の関係にある強調色による(1+1)+1を頭に描いて色を選択するというのが秘訣です。

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