【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座（5）企画書デザインはカラーが決め手(2/3)

執筆：竹島 愼一郎

　カラーパレット上で色を組み合わせるという方法をとっていると、どこかで何か物足りないと感じるときがきます。

　というのは、色の組み合わせというのは機械的に選択するというより、相互の相性で決まってくるものだからです。右図は2色と3色の組み合わせを示したものですが、いずれも相性がよく見えるはずです。私たちが店で洋服を買うとき、好きな色の服を着ていると、店員さんはそれを見てふさわしい色の組み合わせを提案してくれますが、それと同じです。

　企画書で相性の良いカラーを選べるようになるには、カラーそのものを好きになることです。わたしがよく参考にしているのは「飛行機の機体」「サッカーのユニフォーム」「ワインのラベル」「特徴のある店の看板」といったものですが、花の近接写真を撮ってみて、これもコレクションのひとつに加わりました。

　最初のうちは「なんだかいいな」と思うものを気にかけて見て、「好きのコレクション」を頭のなかに蓄積していきます。それは主観で結構です。そのように意識的にものごとを見ていくと、絶妙のカラーの組み合わせというものがわかっていきます（上記の2色と3色の組み合わせもそうして蓄積したものです）。洋服や小物などの趣味と同じで、深い関心があるほどセンスが磨かれていきます。

　花の写真の配色を利用して、企画書にカラーを施した例をもう一例挙げておきます。

左の花の写真の色合いを用いて、右の配色を上記企画書に採用

　ここでもうひとつ重要なことは、心を動かして対象を見るということです。あらためて花に見入ってみると、人間とは自然界のカラーを模倣して生きているのだとわかります。自然というものの懐の深さと生命の偉大さをあらためて感じさせられます。

　実は「1枚企画書」というのは、全体を図形で囲んでそれを矢印のフローで示すため、どのような種類の企画書よりカラーの巧拙が出やすいのです。それは連載第1回で紹介した、重要なキーワードのみに色づけする文章型の企画書と比較するとよくわかります。

　見た目の良さだけではありません。企画書というのはかならず未来の提案をするものなので、最先端を行くべき企画者にセンスが感じられないと、内容にもセンスがないと見られても仕方がありません。そして、そうしたセンスというのは持って生まれた能力の差ではなく、世の中を、感動を持って見てきているかどうかで決まってくるものなのです。

　カラーで企画が通るとまでは言いませんが、その重要性についてはわかってもらえたかと思います。カラーにつねに気を配って、いきいきとした企画内容を、いきいきとした配色で表現するようにしてください。