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  • 2023/12/14 掲載

中国経済にいま何が?「消費の格下げ」「新型貧困」すでに始まっている最悪シナリオ

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中国の飲食・小売市場がかつてない不景気感に襲われている。飲食店に人影はなく、小売店では「見るだけ」という、「消費のダウングレード(格下げ)」が起きている。消費マインドをここまで減退させている根本原因は何か。いま中国の経済、消費活動に何が起きているのか。各種データを基にひも解いていくと、深刻な現状が浮かび上がってきた。
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いま中国経済に何が起きているのか? 各種データを基にわかりやすく解説する
(Photo/Gil Corzo/Shutterstock.com)

飲食店に人がいない……中国のヤバい景況感

 中国の景気が悪化している。中国国内の多くの人が感じているであろうことが「飲食店に客がいない」ということだ。新型コロナが終息して、再び飲食店がにぎわうと多くの人が期待していたが、客がやってこない。社交の役割を担った中級から高級な飲食店は、いつ行っても入れるため、もはや予約を取る必要がなくなっている。

 一方、1食50元以下で食べられる中華ファストフードは大盛況で、行列ができるほどの人気店も多く、新たな飲食チェーンが創業され、投資資金も集まっている。つまり、飲食店の主役は、200元以上の中級店以上から、50元以下の中華ファストフードにシフトした。

 飲食店の倒産も相次いでいる。企業調査会社「企査査」のデータによると、2020年から2021年にはコロナ禍の影響で、約120万店舗が閉店、倒産をした。しかし、感染状況が落ちついた2022年でも51.9万店舗が閉店し、2023年は上半期だけで47.2万店舗が閉店している。飲食店の閉店トレンドが止まらなくなっている。

 一方で、飲食店収入は2022年に減少したものの、2023年に入ってからは前年比20%前後の成長をしており、絶好調とも言える。この矛盾した現象は、多くの消費者が価格の安いファストフードに集中することによって起きている。

 これは飲食業だけの話ではなく、小売業などにも及んでおり、メディアは「消費のダウングレード」と呼び始めている。

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飲食店収入、商品小売額、ネット小売額の増加率の推移。2021年にコロナ禍から回復基調に入ったものの、すぐに息切れをしてしまい、2022年は低迷した。2023年にようやく緩やかな増加に転じたが、「消費のダウングレード」が起きている。なお、データが公開されていない月は、前後のデータを点線でつないで示した
(出典:中国国家統計局)

「消費の格下げ」現象とは? 2023年で変わった消費マインド

 コロナ禍前、アリババなどのEC企業は「消費のアップグレード」という言葉を使って、消費の拡大とスマホ決済の消費者金融機能の利用拡大を促していた。そのときと真逆の現象が起きていることから、「消費のダウングレード」という言葉が使われるようになっている。これまで中華のコース料理を食べていた人が、蘭州ラーメンを食べる。それまでハイブランドの衣類を購入していた人がカジュアルブランドで買うといった現象を指している。

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社会消費品小売総額(個人消費に相当)とネット小売総額の推移。現在は不況に見えるが、小売総額は落ちていない。旅行や娯楽などの体験消費にはお金が使われているからだ。なお、データが公開されていない月は、前後のデータを点線でつなぎ示している
(出典:中国国家統計局)

 この消費マインドの変化は、2023年になって突如起きた。

 2022年、中国でも国際的な要因で原材料価格が高騰し、生産者物価指数(PPI)は上がり続けていた。それに同調するかのように消費者物価指数(CPI)も上がり続けた。生産者物価指数は「出荷価格」のことであり、消費者物価指数は「店頭価格」のことだ。原材料費が高騰しているのだから出荷価格は上がらざるを得ない。それに伴い店頭価格も上がるとは、消費者が値上げを受け入れ、原材料費の高騰分は消費者に転嫁ができていたということだ。

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生産者物価指数(PPI=出荷価格)と消費者物価指数(CPI=店頭価格)の推移を見ると、2022年は両者ともに上昇していた。しかし、2023年は2つの指数が乖離している。2023年に入り、消費者のマインドが大きく変わった
(出典:中国国家統計局)

 ところが、2023年に入り、出荷価格(PPI:上図の緑色)は上昇を続けたが、店頭価格(CPI:上図の橙色)は下がり始めるという乖離が起き始めている。つまり、消費者は安いもの、割引されたものしか買わなくなっているのだ。これが「消費のダウングレード」を示しており、消費マインドが冷え込み、小売店は間に挟まれてどこも苦しい状況になっている。 【次ページ】すべてはここから始まった、消費マインド減退の根本原因
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