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- 2020/12/21 掲載
「電子カルテ」徹底解説。メリット、主要メーカー、最新市場規模や普及率まで
電子カルテとは何か?
電子カルテとは、これまで医師や歯科医師などが診療経過を記入していた紙のカルテ(診療録)情報をデジタル化したものを指す。また、電子情報を一括してカルテを編集・管理したり、データベースに記録する仕組みを「電子カルテシステム」と呼ぶ(注)。電子カルテは主に「病院向け」「診療所向け」の2種類に大別できる。診療所向け電子カルテは、病院向けと比べて機能が簡素化されている。また、大規模病院では、導入病院ごとにカスタマイズされることが多い。
診療に関わるオーダリングシステムや医事会計システムなどと連携して各部門システムの情報を一元化できるため、医療情報システム(HIS)の基本的なインフラを担う中核的なシステムとして電子カルテは位置づけられている。
電子カルテの導入メリット6つ
第1のメリットは、カルテ入力作業の時間短縮による業務効率化だ。従来、ペンで筆記を行っていた紙のカルテと異なり、電子カルテではキーボード、さらにはペンタブレットやタッチパネル、音声入力などで入力作業を簡素化できる。また、メニュー選択機能や定型書式のテンプレート機能などを活用すると、繰り返し行われる定型的な作業の効率化も図れる。第2のメリットは、医師が電子カルテのオーダリング機能を通じて、医療スタッフに対する指示内容を伝達できることだ。指示内容は瞬時かつ正確に各部門へ伝達されるため、患者の待ち時間が短縮される。またスタッフへの伝票搬送の手間がなくなり、届け忘れが防止できる。
第3のメリットは安全管理の強化だ。転記ミスによる事故防止や重複処方・検査のチェック、薬品の配合禁忌チェック、病態による投与禁忌チェックなどを行える。
第4のメリットはカルテ保管に要する物理的なスペースの削減である。従来、大規模な病院では紙カルテを専用の保管庫で管理していたため、カルテを探したり記入後に元に戻すなどの作業が負担になっていた。電子カルテではデジタル化した情報をストレージや外部媒体に保存することで長期間かつ大容量での保存が容易となり、保管スペースを抑えることもできる。
第5のメリットはわかりやすいインターフェースだ。検査や処方などのデータを電子カルテで一覧表示すれば、患者への説明が楽になり理解を促進することにもつながる。キーワード検索など情報の検索も容易で、過去カルテなどの閲覧性や検索性を高めることもできる。
第6のメリットは遠隔地からの閲覧だ。情報連携ネットワークを整備すれば、PCやスマートデバイスなどから場所を問わずにカルテ情報を参照できるため、多職種の医療スタッフの情報共有や院外からの情報参照にも役立つ。その他にも、予約受付管理や医事会計システムと連動することで、受付から診察・処置・会計の一連の流れがスピーディになり、患者の待ち時間の軽減などにより満足度向上も見込める。
【次ページ】最新の市場調査に見る、電子カルテの市場規模や動向予測
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