- 会員限定
- 2019/09/17 掲載
ファミマ 澤田貴司社長が「2000回ブレスト」で実現した“コンビニ変革組織”とは
-
|タグをもっとみる
ファミリーマートの澤田貴司社長の「キャリア」
「デジタル化が進む世の中で、私たちはそれを有効活用しながらも、これまで以上にリアルな店舗にこだわって“地域密着”のビジネスを追求していきたい」──。ファミリーマートの澤田貴司 代表取締役社長は、米グーグル日本法人が先頃、都内ホテルで開いた年次イベント「Google Cloud Next '19 in Tokyo」においてゲストとしてスピーチした基調講演でこう強調した。澤田氏といえば、かつてファーストリテイリングで「ユニクロ」の大ブームを仕掛け、創業者の柳井正氏から社長就任を打診されたたが、断って同社を去ったことで知られる。その後、独立して再生ファンドや経営支援会社を設立。そして最初に入社した伊藤忠商事からの依頼を受けて、2016年9月にファミリーマートの社長に就任した。
また、ファミリーマートといえば、国内に約1万6500店舗、海外を合わせると約2万4000店舗を展開しているコンビニエンスストア大手だが、競合との激しい市場争いやコンビニ自体のありようが変化する中で、常に変革が迫られている厳しい環境にある。
そんなファミリーマートの社長に就いた澤田氏は、これまでの3年間でどのような改革を行ってきたのか。そして、今後どのようなコンビニを目指していくのか。今回の講演でそんな話を聞くことができたので、そこから筆者が印象深かった話を取り上げてみたい。
現場第一主義を掲げて3年間で2000回超のブレストを実施
まず、同氏が社長就任当初、自らのテーマとして掲げたのは「現場第一主義」だ。これは経営者として経験を積み重ねてきた同氏の理念ともいえる。これに伴い、最初に店長研修を受けて修了し、全国の加盟店累計709店舗(2019年7月時点)を巡回。加盟店向けに自らの方針を説明する会合を全国で66回実施し、延べ4万5800人が参加したという。そうした活動とともに、社内ではこれまでにあらゆる部署の社員と2000回を超えるブレーンストーミング(ブレスト)を実施したという。
「課題をどんどん挙げてもらい、それら個々について徹底的に協議して改善していこう、課題をやっつけよう」(澤田氏)との姿勢で、実態把握と課題解消に努めてきたという。
働き方改革には「見た目を変える」ことも重要
ブレストではさまざまな課題が浮き彫りになってきた。たとえば、「店舗オペレーション省力化」「人手不足対策」「マーケティング戦略」「服装自由化」「フロアコミュニケーション不足」「複雑な店舗システム」「キャッシュレス」「競合を圧倒する商品開発」「新規事業」「大量の単身赴任者」「コスト削減」といった具合だ。そうした中から、会社としてとりわけ重要な課題を4つ挙げ、その改革の断行に注力した。「店舗オペレーション改革」「商品・マーケティング改革」「社内意識改革」「コミュニケーション改革」がそれだ。澤田氏はこれらを「4大改革」として社内に発信し、持ち前のリーダーシップを発揮しながら、その実践を強力に推し進めた。
1つ目の店舗オペレーション改革では、店舗の省力化に向けて新型レジやセルフレジを導入。「レジの改革は人手不足の中で生産性を上げるための重要なポイント」と澤田氏は説いた。また、店舗オペレーションのマニュアルも冊子を読むのではなく動画に。それも1分で大事なポイントが分かるようにした。
【次ページ】2つ目の商品・マーケティング改革とは?
関連コンテンツ
PR
PR
PR