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- 2019/07/30 掲載
タンカー襲撃後、大型原油タンカー(VLCC)のスポット運賃はどのくらい上昇した?
連載:海運業界トレンド
大型原油タンカーの運賃は事件前後で1.36倍以上に
中東の原油輸送の要衝であるホルムズ海峡近くのオマーン湾で6月13日、2隻のタンカーが襲撃される事件が起こった。これを受け、大型原油タンカー(VLCC)のスポット運賃は大きく上昇。中東湾岸地域から中国に原油を運ぶ大型原油タンカー1隻に対して支払われる金額は現在、15,000米ドル/日を上回っているが、これは事件の2日前の金額、11,000米ドル/日より1.36倍以上高い。
しかし、船主らの大半は事態が明らかになるまで確定を避けており、それ以降はごくわずかな動きしか見られていない。船主らはまだ新たな保険の見積もりを待っている状況だ。
一方、7月の契約運賃はほぼ25,000米ドル/日まで押し上げられている。これは現在、積荷の多くが西アフリカなど他の輸出地域に向かっているため、今後数週間にわたり供給がタイトになる見込みによるものだ。
リスクを取って恩恵を受ける船主も
今後数週間にわたり、中東湾岸地域近辺の船舶供給は減少の方向にあるが、これは原油タンカー襲撃のリスクを避けるため別の荷積み地域を目指す船主が複数いるからである。供給の逼迫(ひっぱく)が中東湾岸地域のスポット運賃を大幅に押し上げ、2019年第1四半期に見られたような水準に近くなる可能性がある。
ギリシャ船主の中には、他の船主の大半が単に待ちの姿勢で次に何が起こるか見守っている間に、リスクを取って数隻を確定させ、価格急上昇の恩恵を素早く獲得する用意がある者も見られる。
市場はさらなる戦争リスクに対する保険料上乗せを見込んでおり、必須情報についてはまだP&I(船主責任相互保険)組合からの提供が待たれる状況だ。Sovcomflotやトラフィグラ、DHT ホールディングスなどの市場大手数社はすでに先週、同地域での活動を中止している。
【次ページ】米国とイランの間の緊張がさらに高まれば…?
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