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- 2018/11/06 掲載
「10万円無料」で“炎上”の侍エンジニア塾、セキュリティ観点での問題も
問題の本質は景表法違反とDMCAの悪用
この問題をSNSで指摘され最初の炎上が始まったのだが、その後の対応も悪手が続く。いまなら10万円安くなると手続きを急いだ塾生が、騙されたと思い解約を求めると、解約を拒否されたという報告がネット上に上がった(消費者センターに相談し解約できた人もいる)。
SNSやブログでの指摘が増えると、それらをネット上から見えなくするため、グーグルに「DMCA申請」を行った。DMCAは、米国の「デジタルミレニアム著作権法」のこと。ネット上のコンテンツが違法コピー、無断使用である場合、著作権者がプロバイダーやプラットフォーマ―に当該コンテンツの削除できる権利が明記されている。グーグルはDMCAに基づく、通報窓口を設けて対応している。
本来、著作権侵害に対応する法律だが、自分に都合の悪い記事、ブログを封殺するために利用されることがある。過去にも炎上企業が、批判記事やブログそのものを削除できないときに利用(悪用)することがある。
企業としての対応のまずさ
不正が疑われる広告とDMCAの不適切な利用は、この問題の本質部分である。株式会社 侍は、すでに謝罪文をホームページに公開し、DMCA申請の取り下げも行っている。しかし、謝罪はDMCAの誤用についてと申請の取り下げについてのみ(10月28日現在)で、もう一方の広告・景表法違反についての記述がない。
そのため、DMCA申請取り下げについての謝罪を評価する声があるものの、不正広告を認めていないと非難する声も少なくない。犯罪にかかわる問題なので、簡単に発言できない事情もわからないでもないが、一連の対応や謝罪アナウンスなど、企業コンプライアンスや管理能力に疑問符がつく。
そもそも、プログラマやエンジニアを育てようという企業が、JavaScriptの日付関数で「+7」するというコードを使うというのも、技術レベルが高いのか低いのかよくわからない。解約希望者への返金対応もばらつきがある。炎上についての情報が社内で共有されているのかも不明だ。それ以前の問題として、経営者や現場は、クーリングオフなど商法に関する知識を持っていたのだろうか。
謝罪文もコーポレートサイトのみの表示で、肝心の受講者が利用するサービスサイトからのリンクはない。不正広告を認めていないため、表示は必要ないという判断と思われるが、ネット上に指摘がある以上、この判断も微妙だ。声が大きくなった場合、いまより難しい説明をしなければならなくなるからだ。
しかし、問題はこれだけではない。
【次ページ】セキュアコーディングに反する指導は許されない
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