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サイバーセキュリティが投資家のビジネス上の最大の脅威となった。2018年2月26日にPwC Globalが発表した「2018 Global Investor Survey」によると、投資家およびアナリストの41%がビジネス上の最大の脅威として「サイバー脅威」を挙げており、その順位は2017年の5位から上昇し、今回、トップとなった。
投資家が考える、企業の成長に対する脅威の懸念のトップ5
投資家が考える、企業の成長に対する脅威の懸念のトップ5は、「サイバー脅威」に続いて、「地政学的な不確実性」(39%が非常に懸念していると回答)、「技術変化のスピード」(同37%)、「ポピュリズム」(同33%)、「保護主義」(同32%)となった。
同社が別途実施した「第21回世界CEO意識調査」によれば、投資家とほぼ同じ割合(40%)のCEOが「サイバー脅威」をビジネス上の懸念として挙げているものの、「過剰な規制(42%)」や「テロリズム(41%)」に対する懸念が「サイバー脅威」を上回った。
一方、世界経済の成長見通しについては、投資家の54%(2017年から9%増加)、CEOの57%(2017年から28%増加)が、世界経済の成長率が高まると考えており、投資家とCEOのいずれもが昨年より自信を深めていることが明らかになった。
ただし、短期的にも長期的にも、CEOによる自社の売上拡大見通しに比べて、投資家による投資先企業の売上拡大見通しのほうが悲観的という結果となった。
具体的には、今後12カ月間の売上拡大について「非常に自信がある」と回答した投資家は4分の1未満(23%、2017年も23%)であるのに対し、CEOは42%に達した。また今後3年間の見通しでは、売上拡大に「非常に自信がある」と回答した投資家が5分の1(20%)にとどまったのに対し、CEOは45%とその差はより大きくなったという。
26%が「人工知能が人員削減計画に影響」と回答
投資家はCEOに比べ、「テクノロジーの変化」(85%対64%)、「消費者の行動変化」(81%対68%)、「流通チャネルの変化」(76%対60%)がビジネスにより大きな破壊的影響をもたらすと予想しており、これが売上の拡大に対する投資家の懸念の背景にある。
また、人工知能(AI)が人員削減計画に大きな影響を及ぼすと考える投資家の割合は4分の1強(26%)と、昨年から13%増加した。
PwCのグローバル・インベスター・エンゲージメントのヘッドであるヒラリー・イーストマン氏は「投資家は CEOが考えるよりも、破壊的変化がビジネスに及ぼす影響が大きくなると予想している」と指摘。
そのうえで「企業と投資家との効果的なコミュニケーションが、投資家の慎重な姿勢に対処するカギとなる」としたうえで、「企業が投資家の懸念を払拭(ふっしょく)するために行動していることを明白に示すことができれば、長期投資を呼び込める可能性が高くなる」とアドバイスしている。
成長のうえで重要な5カ国は?
投資家とCEOが、企業が成長する上で重要と考える上位5カ国は、米国、中国、ドイツ、英国、インドで、昨年と同じだった。しかし、米国と中国との差についてみると、投資家の回答においては2国間の差が縮小しているのに対し、CEOの回答では逆に中国に比べて米国の重要度が一段と高まっていた。
2017年のグローバル投資家意識調査では、重要な国・地域として、米国が中国を23%上回っていた。これが2018年では、米国と中国の差は13%に縮小(米国78%、中国65%)。対照的に、ドイツと英国の差は広がった。
2017年、投資家が重要と考える割合は英国とドイツのいずれも32%だったが、今年はドイツが32%の割合を維持したのに対し、英国が21%に低下した。これは、ブレグジットを巡る不確実性が投資家の見通しに影響したと考えられるという。
ただし、ドイツ(3位)と英国(4位)はともに、成長する上で重要と思われる上位5カ国に引き続きランクされた。
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