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- 2017/04/19 掲載
PwCの調査で分かった「デジタルやテクノロジーから遠い」日本のCEOの現状
自社の成長への見通しは低下
日本のCEOに、自社の成長の短期的な見通しについて聞いたところ、「非常に自信がある」との回答は昨年28%から14%に半減した(図1)。中期的な見通しに対する強い自信も33%から21%に大幅に低下しており、国別のデータ比較においても日本のCEOの慎重な姿勢は際立っている(図2)。自社の成長にとって最も重要な国として、日本のCEOの回答は米国(本年61%、昨年55%)と中国(同58%、45%)への集中が高まる一方で、アジアの新興国に対する関心が低下している。その顕著な例として、タイは昨年28%から本年17%に低下した(図3)。また、昨年8位(11%)であったドイツは10位圏外(6%)になり、韓国が一昨年来10位圏内に入った。
デジタルやテクノロジーから遠い日本のCEO
また、CEOの個人的な習慣などに関する質問においても、日本のCEOのデジタルに関するスキル、ホームオートメーションシステム、ロボティクスなどのテクノロジーの使用経験に対する回答は他地域のCEOに比べて圧倒的に低い結果となった。新しいテクノロジーに関する個人的な使用経験がないことが、日本のCEOにとってデジタルおよびテクノロジーが最優先課題に挙がらない一つの要因となっている可能性は否定できないだろう(図5)。
機械化が加速するも、人員規模は拡大の見通し
機械化による雇用への影響を踏まえ、CEOに対して、今後12か月における人員規模について聞いた。結果は事前の予想に反し、規模の縮小を見込んでいる日本のCEOは7%(世界16%)とごくわずかで、逆に4割(世界5割)程度が人員規模の拡大を見込んでいることが明らかとなった(図6)。人事政策について聞いたところ、世界、日本のCEOともに共通して、「ダイバーシティ&インクルージョン(人材の多様化)を促進する」、「将来必要となるスキルや雇用体系を踏まえた人事政策の見直しを行った」、「適材適所に人材を配置する」、「年齢層や出身地域に関係なく優秀な人材を確保する」との回答が上位にランクインした(図7)。
世界のCEO、特に米国は、全体の8割が「社内のラーニングプログラムにデジタル関連のトレーニングを追加した」と「社員の福利増進のためにテクノロジーを活用する」と回答する一方で、両項目ともに日本のCEOの回答は半数程度。ここでも日本のCEOにとって「デジタル」と「テクノロジー」は世界に比べて関心を集めてはいない状況が垣間見える。
【次ページ】 一方、リスクに対する意識は世界最高レベル
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