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  • 2023/09/15 掲載

半導体「超」入門、知っておくべき基礎知識3つ 集積率はもう限界? 今後NTTに脚光?

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デジタル社会の実現に不可欠な要素技術であり、国の安全保障にも直結する戦略技術を伴った「半導体」。今やPCやスマホだけでなく、自動車や白物家電などにも幅広く活用されるようになってきた。PwCコンサルティングのシンクタンク、PwC Intelligenceの祝出洋輔氏によれば、「半導体産業はテクノロジートレンドの需要を基礎として、政治的な力学の影響を強く受ける」という。そのため、構造が複雑化している印象を持つ人も多いだろう。ここでは、半導体の現状を知る上で知っておくべき3要素や、半導体技術の最新動向、半導体サプライチェーンの変化の行方などをわかりやすく解説する。
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図1:半導体産業は各国の政策(地政学)と微細化の進捗、テクノロジートレンドの3つの要因によって動向が規定される。昨今の半導体サプライチェーンの一部での混乱は各国の政策、特に米国の影響が大きいという
(出典:PwC コンサルティング)

半導体サプライチェーンを形成する3要因

 半導体はスマホや自動車だけでなく、成熟製品である炊飯器や冷蔵庫などにも使われる、あらゆる産業で不可欠な部品だ。にも関わらず、実はそのサプライチェーンが思いのほか脆弱であることが、新型コロナ下で相次いだ工場の休業により明らかとなった。

 半導体分野に詳しいPwCコンサルティング 祝出洋輔氏は、「現在の状況の根本として、半導体のサプライチェーン、言い換えれば半導体業界の動向は(1)各国の政策(地政学)、(2)微細化技術の進捗、(3)用途市場に向けたテクノロジートレンドの3つによって決定されます」と説明する。

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PwCコンサルティング
マネージャー
祝出洋輔氏
証券会社・投資評価会社における個別株・ファンドアナリスト、監査系コンサルティングファームにおけるリサーチアナリスト・コンサルタントを経て現職。半導体、電子部品など電機・機械セクターをカバー。半導体では、製造装置・部材メーカーからチップベンダーに至るまでサプライチェーンを幅広くみている。現職では、通常の産業調査の枠を超えて、マクロ経済、国際政治等、地政学リスクを含む観点を取り入れた調査活動を推進。
 市場や産業の動きは本来的に市場原理により決定され、処理能力の向上のための(2)と、用途開拓を目指す(3)は、市場での需要の喚起力として働く。対して市場取引の流れを政治力で変える(1)は、それらへの反発力として作用し、それ自体は国の産業育成策として長らく行使されてきた。

「影響の程度は時々の状況により変わりますが、昨今の先端半導体やそれを設計・製造するツールや装置の供給に関する混乱は、米国の『軍事技術の保護』と『パックス・アメリカーナ体制』に向けた(1)が原因と捉えると理解しやすいでしょう」(祝出氏)

 米国は80年代に入り失墜した経済を、90年代に入りデジタルの力で立て直した。

「その過程でデジタルの根本基盤である半導体を経済のインフラに据えました。米中摩擦ばかりが取り上げられていますが、その流れの中、米国は自国の繁栄を持続させるべく、半導体への政治的圧力を近年になり、急速に強めているのです」(祝出氏)

リソースの偏在による国境を越えた物流も原因に

 その結果が、中国ファーウェイのようなハイテク大手の米国市場からの締め出しだ。「安全保障問題を建前に、経済競争で最大の脅威となった中国の力を削ぐよう政治的に手を打った」というのが世界的な共通認識だ。

「米国は各国にも同調を強く求めており、その影響力の巨大さゆえに市場の混乱も大きなものとなっているのです」(祝出氏)

 グローバルでのサプライチェーンの複雑化も(1)の影響を大きくしているという。

 半導体の製造工程を俯瞰的にみれば、材料の調達、ウェハーなどの要素材料の仕上げ、加工、組み合わせの製造、試験と進み、機械系の組み立て産業よりもはるかに複雑だ。材料や副原料には希少金属や希ガスを用い、さらに専用の製造装置を用いるため、扱える人材も限られる。

「結果的に技術や人、装置、原材料がグローバルで偏在し、各工程を担える企業が地理的に極めて限られるのが実態です。国境を超える取引であるがゆえに地政学の影響を受けやすく、関係国が少ないため、米国の影響もそれだけ直接的かつ大きなものとなってしまいます」(祝出氏)

 事実、半導体のアーキテクチャー設計は米国と欧州が独占し、製造受託では台湾のTSMCと韓国のサムスン電子、米国のインテルがぶつかり合う。製造装置は米国と欧州、日本がしのぎを削り、材料では日本が他を圧倒するなど、プレーヤーはごく少数だ。

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半導体のサプライチェーン特性、次ページで詳しく解説します
【次ページ】TSMCやサムスンの半導体工場が成果
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