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- 2025/03/07 掲載
住友生命保険が「ChatGPT爆速活用」、作業効率「1週間→数時間」に大成功した舞台裏
生成AI環境を「わずか2カ月」で構築
──(マスクド・アナライズ)2023年7月に「Sumisei AI Chat Assistant」の導入発表があり、金融業における早期導入となります。どのような背景がございますか。住友生命保険:生命保険会社の業務は正確性重視の定型的な作業が多いですが、職員の多くを占めるバブル世代の退職が近づいており、これまでと同じやり方では、人手不足によってすべての業務を同品質で遂行することが困難になるリスクがあります。これに備えるため、生成系AIを活用して業務効率を高めることが背景の1つです。
また、ChatGPTの導入は社内からの期待が高かった点もあります。社内SNSにChatGPTの専用チャンネルが有志で作られ、また、経営層からも強い要望もありました。そこで、社長直属のデジタル&データ本部が中心となって、導入決定から約2カ月で環境を構築し、運用を開始しました。
現在は本社所属の職員を中心に約1万人が利用できる状態で、週単位で約1000人が利用し、約8000件のメッセージがやりとりされています。
開発はグループ会社のスミセイ情報システムが担いました。短期間かつ大規模な環境構築でしたが、以前からデジタル人財の育成を行ってきたため、ほぼすべて内製化ができ、効率的に対応できました。
「3つのリスク」観点でガイドライン作成
──生命保険というセンシティブな商品を扱う上で、ChatGPTに起因するリスクをどう管理していますか。住友生命保険:情報漏えい・権利侵害・ハルシネーションという3つのリスクの観点でガイドラインを作成し、運用しています。
ガイドラインの作成においては政府機関や日本ディープラーニング協会のガイドライン参考にし、また弁護士の照会結果も取り入れており、情報の誤認や意図せぬ権利侵害が発生しないようにしています。ユーザーの利用履歴を確認しており、問題発生時にも対処ができる体制を整えています。 【次ページ】「1週間→数時間」の特大成果
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