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- 2024/02/21 掲載
【単独】茨城県が「ChatGPT爆速活用」、1カ月で1人127分時短など「驚異の成果」の中身
前編はこちら(この記事は後編です)
DX推進の源に「IT企業出身」知事のリーダーシップ
実は、茨城県のDX推進は大井川 和彦知事のリーダーシップによるところが大きな要因の1つとなっている。大井川氏は、通商産業省(現経済産業省)を退官後、マイクロソフト、シスコシステムズ、ドワンゴを経て茨城県知事に就任した経歴を持つ。いわばITのプロフェッショナルとして活躍してきた人物だ。
たとえば「大井川知事は、何のためにデジタル化をするのか? 業務効率化や働き方改革、行政の透明性といった目的やメリットを明確にした上で、必要なシステムを導入し、人財や組織づくりを進めよ、と徹底してこられました。そこで職員もDXを目的化するのではなく、解決すべき課題に対して、必要なツールを選ぶというスタンスで進めるよう意識を変えていきました」と回想するのは、政策企画部 DX推進監の矢部 英雄氏だ。
そうした意識改革の結果、以前までほとんど使われていなかった電子決裁システムの利用率は、大井川知事就任から間もない2018年4月から7月までの約4カ月という短期間で13%からほぼ100%まで向上したという驚異的な成果を遂げた。
課題解決型のDX研修で「マインドセット醸成」
もう1つ、DXを推進するための重要な秘訣がある。それはデジタル人財の育成だ。人財育成に関しては、以前からも基本的なアプリの操作やセキュリティ対策の研修などを実施してきた。しかし、それだけでなく、職員自ら積極的にDXに取り組もうとする意欲を持ってもらうことで、各職場において主体的にデジタル化を推進できるよう、もう一歩踏み込んだDX研修も2022年度からスタートさせたのだ。前出の矢部氏は「単にインストラクターの講習を受けるだけでなく、職員が業務上で解決したい課題を持ち込んで、それに必要なツールを使ってみたり、実際にアプリを開発したりと、かなりとがった実務型の研修を実施しています。また行政経営課では、RPAやkintoneといったツールを実際の業務で使えるように研修や支援を行っています」と説明する。
これはOJTに近い形の研修になるが、他県にはあまり見られない独特なアプローチと言えるだろう。研修受講者のDXに対する意識改革や、デジタルを推進する上でのマインドセットも醸成できているという。
茨城県では、こういった意識改革もあり、いま大きな話題になっているChatGPTの活用にも果敢にチャレンジしているところだ。ここからはその実証実験の取り組みについても触れておこう。 【次ページ】気になるChatGPT実証実験の成果は?
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