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- 2024/01/22 掲載
茨城県東海村の「職員・住民」が最先端と言えるワケ、IT企業顔負けの自治体改革の全貌
前編はこちら(この記事は後編です)
役場のオフィスをフリーアドレス化する理由
東海村役場の働き方を改革する「スマートワーク」の取り組みとして、現在、進められているのがオフィス改革だ。具体的には、2022年11月から、佐藤氏が所属する総合戦略部 地域戦略課の執務エリアをフリーアドレス化し、全庁オフィス改革に先駆けたモデルオフィスとして職員の新しい働き方の実証を進めている。フリーアドレス化の目的は、職員の働き方を多様化して自律的な働き方に転換し、生産性を高めることにある。そのため、実証実験での成果を積極的に情報発信している。
「削減できた消耗品の数や『コミュニケーションが活性化した』『紙が減った』といった職員の意見を発信し、効果を確認・発信しながら進めています。令和6年12月を目途に働き方のコンセプトやそれを実現するレイアウトを含めた「全庁的なオフィス改革プラン」を作り、その後、役場全体のオフィス改革を進めていきたいと考えています」(佐藤氏)
スマートワークの取り組みでは、そのほかにもさまざまな改革が行われている。たとえば、役場庁舎内は無線LANを導入し、パソコンを持ち歩いてどこでも作業できる環境が整備されている。Web会議用のブースも用意され、会議室には書き込みをしながらコミュニケーションできるインタラクティブホワイトボードも設置されている。
デジタルデバイド対策「とうかい“まるっと”スマホ大作戦」
まるデジ構想の3つ目の柱が「デジタル対応社会の実現」だ。具体的には、多くの村民がスマートフォンを使いこなしてデジタル社会のメリットを実感できる社会を作ることであり、その中心が主に高齢者を対象としたデジタルデバイド対策である。東海村では、2021年に高齢者向けの調査を実施し、前期高齢者の33%、後期高齢者の45%がスマートフォンを活用できていない実態を突き止めた。これを放置すれば、役場の各種手続きをデジタル化することで高齢者が取り残されてしまう。そこで立案されたのが、「とうかい“まるっと”スマホ大作戦」だ。
この“作戦”が目指しているのは、最終的にはスマートフォンの学び合い(共助)の仕組みを作ることだ。住民同士が使い方を学び合い、行政はその後押しに徹する。ただし、いきなりそのような仕組みを作ることはできない。
「そこで、まずはスマホを所有する高齢者を増やす取り組みを行いました。具体的には、2021年、国からのコロナ対策の交付金を使って、ガラケーからスマホに乗り換えた住民に2万円を補助する事業を行いました」(佐藤氏)
次に実施したのがスマートフォンについて学べる場の創出だ。「シニアのためのスマホ講座」といった講座、使い方を相談できる相談会などを開催し、スマホを持っていても活用できてない高齢者を支援している。 【次ページ】「自治会と協働」で作る“学び合いの仕組み”
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