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  • 2024/12/20 掲載

【実践】生成AIリテラシーを爆増させる「大学の宿題」が面白い、社員教育にも絶大効果

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急速に普及している生成AIのリテラシーを高めてもらうため、ユニークな課題を学生に課している大学がある。それが、お茶の水女子大学の伊藤 貴之教授が出している「生成AIが作成した不完全な回答を修正し、適切な内容にする」という課題だ。同様の課題を企業の社員教育に適用すれば、「むしろより大きい効果を発揮するのでは」と同氏は考えているという。そこで今回、伊藤氏に課題の概要や効果、社員教育に適用する際の留意点などについて話を聞いた。
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生成AIが作成した不完全な回答を修正し、適切な内容にする課題を学生に課している(後ほど詳しく解説します)

「生成AIの回答を修正させる」課題を始めた経緯

 お茶の水女子大学が生成AIの対応を始めたのは2023年初頭にまで遡る。生成AIが一気に普及することになったOpenAIのGPT-3.5が2022年11月のリリースであるため、かなり早いタイミングだ。伊藤氏は次のように振り返る。

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お茶の水女子大学 教授 伊藤 貴之氏
1968年東京都生まれ、1990年早稲田大学卒業。1992年日本アイ・ビー・エム入社、1997年早稲田大学課程外で博士号(工学)を取得。2005年お茶の水女子大学理学部情報科学科助教授、2011年同教授(現職)、2024年より共創工学部文化情報工学科教授を兼務。そのほか、お茶の水女子大学の文理融合AI・データサイエンスセンター長、ジェンダード・イノベーション研究所を兼任している。
「当時からすでにChatGPTを使い始める学生も現れていました。これから生成AIが社会のさまざまな分野で普及していくのに伴い、学生が適切に利用できるようなサポート体制を、大学としても整える必要があると感じていました」

 そこで同氏も一員となって、2023年の早い時期に「生成AI利用ワーキンググループ」を立ち上げ、学生たちに生成AIツールの使用上の注意事項などについて周知。2024年2月には、このワーキンググループを中心とした活動の一環として、学内講演会「授業・研究における生成系AIの活用事例」を開催した。ここでの講演を依頼されたことを機に、学生に生成AIを実際に授業の課題として使わせ、使い方を観察してみたいと考えたという。

「レポート作成をはじめとした課題提出などに、当然ながら生成AIの回答が用いられることが予想されます。しかしながら生成AIによる回答というのは、不正確な内容や古い情報が含まれていたり、質問にそぐわなかったりしますから、そのまま提出するには不十分です。そこで、自分で生成AIの回答をどのように書き直すべきかについて学ぶ機会を提供しようとなったのです」(伊藤氏)

課題の設問は4つ

 このような経緯から伊藤氏は、生成AIツールを用いた課題提出に伴うリスクについて、体験的に学ぶ機会を用意。2023年12月に「生成AIが作成した不完全な回答を自ら修正し、適切な内容にする」という課題を、情報科学科2年生の必修科目「マルチメディア」において課した。

「生成AIに頼って課題を仕上げるのではなく、生成AIが出力する内容の妥当性を自ら検証して修正するプロセスを、学生たちに体験してもらうことが最大の目的です」(伊藤氏)

 具体的には、以下の図にある4つの設問を設定した。

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学生に課した宿題の内容は主に4問

 なお選択する単語は、「マルチメディア」で習う、情報伝達・情報発信に関する技術の単語から選択してもらった。

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マルチメディアの講義で習う、情報伝達・情報発信に関する技術の単語を選択

 この結果、生成AIの利用方法は学生によって多様であったが、生成AIの出力をどう書き換えるかについては大きく2つのタイプに分かれたという。 【次ページ】「疑問を持つ力」「判断力」が身に付く
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