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- 2025/03/12 掲載
ライオンが成功した「ChatGPT導入」舞台裏、深刻問題「使わない社員」どう減らす?
ライオンの「生成AI導入」舞台裏
──(マスクド・アナライズ)ChatGPT 導入活用の中心となるデジタル戦略部はどのような部署でしょうか。ライオン:元々3つに分かれていた社内の情報システム部門を統合した組織で、メンバーは基幹システム担当からデータサイエンティストなど、幅広く在籍しています。ChatGPT導入のきっかけは2023年2月に行われたワーキンググループで、社内で横断的な取り組みをやろうという発案がきっかけでした。2023年3月にはChatGPTの導入が決定しました。
2023年4月には正式にプロジェクトが立ち上がり、「ChatGPTで何をやりたいか」を社内でヒアリングしながら、開発がスタートしました。そして2023年5月に社内専用の対話型AIとして「LION AI Chat Powered by ChatGPT API」を発表しています。
──意思決定から導入開始まで短期間で実現できた背景は何でしょう。
ライオン:以前から社内のエンジニアやパートナーさまと新しいことをやりたいという話があり、AWS(Amazon Web Services)を自社内で積極的に導入しておりました。そして今回のChatGPTでは経営陣の「スピード感を大事に」という後押しもあって、デジタル戦略部のエンジニアによる内製化によって短期間で導入できました。
──利用におけるガイドラインの制定はどのように行われましたか。
ライオン:既存の社内情報システムに関するガイドラインで機密情報の扱いを取り決めています。また、非常時には緊急停止できる仕組みもあるので、安全面に配慮しています。
懸念は「使う人」「使わない人」の二極化
──導入後の反響はいかがでしょう。ライオン:役立つ場面として一番多いのが、文章の要約、文章の作成です。あるいは壁打ちの相手になってくれるのがありがたいですね。ITエンジニアやデータサイエンティストからは、プログラミングの支援が特に好評です。
国内の従業員向け(約5000名)に提供していますが、利用状況としては直近で1日に5~600リクエスト、2週間で5000リクエストとなり、徐々に利用も増えています。また、2023年8月からは、GPT-4.0も利用できるようになりました。
一方でChatGPTを使う人と使わない人の二極化を懸念しています。特にグーグルの検索エンジンとの違いがまだ周知できておらず、キーワードを並べて調べても間違いが出てきて戸惑う人もいます。ほかにも長文の生成や論文の要約でエラーがあったり、計算に弱い点などでつまずく人がいます。
まだまだChatGPTへの期待値が高すぎたり、期待外れと感じる部分があるので、ギャップを減らしていきたいです。重要なのはリテラシーの向上なので、社内における継続的な教育に注力していきます。 【次ページ】「使わない人」へのアプローチ法は?
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