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- 2019/11/07 掲載
活発化する中国投資、「税の落とし穴」にどう注意すればいいのか
中国で進む「ファンド投資に対する規制緩和」
中国では、高い経済成長を背景に、資金需要や投資熱も高まっている。そこで、中国政府は金融市場の開放も進めることで、外国の資金を中国に集めたい考えだ。中国は、日本や欧米などの先進各国に比べると金融規制がまだ強いが、「ファンド投資に対する規制緩和、税の軽減といった優遇策を打ち出しつつあります」と、内外の金融制度や税制に詳しいPwC税理士法人パートナーの鬼頭朱実氏は説明する。
中国の金融制度に詳しいPwC中国法人パートナーのステラ・フウ氏によれば、国外から中国市場に投資するには、主として3タイプの形態があるという。
1つ目は、中国にFMC(ファンド管理会社)を設立し、ローカルファンドを立ち上げるケース。現地法人は、ほとんどが合弁だが、最近では外国の投資家も中国市場に慣れてきたため、100%外資企業(WFOE)にも運用が認められているPFM(プライベート・ファンド・マネジメント)も増えているという。
「3年後には、WFOEによるFMCの設立も認められる予定です」(フウ氏)
PFMについては、マネージャーが外国人の場合、中国での登記が必要であり、資金も人民元で調達しなければならないが、「中国国内だけでなく、中国国外にも投資できるようになっています」(フウ氏)
2つ目は、現地法人を設立していない場合、中国市場に直接投資する「オフショア・トゥー・オンショア」。QFII(クオリファイド・フォーリン・インスティテューショナル・インベスターズ=適格国外機関投資家制度)やRQFII(人民元適格国外機関投資家制度)が主なルートだが、銀行間の債券市場であるCIBM(チャイナ・インターバンク・ボンド・マーケット)、中国南部の深3Wで行われているストック・コネクト、ボンド・コネクトといった投資対象もある。
3つ目は「オンショア・トゥー・オフショア」。中国にQDLP(適格有限責任組合)を設立するが、ファンドは国外から管理するというものだ。
中国への投資を促すさまざまな優遇策とは
2つ目のQFIIやRQFIIについては、外国からの投資の場合、税の優遇制度もあるという。「キャピタルゲインなどのトレーディング取引からの所得は非課税で、VAT(増値税=中国版消費税)も免除されています」(フウ氏)
一方で、資金力のある中国の投資家が、中国国内のみならず、中国国外に投資するケースも増えている。そこで、先進各国などの資産運用会社も、中国にFMCを設立する形で進出、中国の投資家を勧誘している。
フィーダーファンドとしてのQDLPを通じて、国外のマザーファンドに資金を集め、外国市場に投資するスキームが一般的だ。中国の個人投資家は、QDLPに任せていれば、自分で税務処理をしなくて済むので、人気を集めているという。
「ただし、中国では、元本保証型金融商品に対して、2018年から3%のVATが課されることになったので、ファンドの運用管理上、注意が必要でしょう」(フウ氏)
【次ページ】内外二重課税の是正も中国投資への追い風
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