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アクセンチュアは、エーオンの子会社であるマクラガン社との調査によって、ブロックチェーン技術により世界の投資銀行上位10行のうち、8行のインフラコストを平均30%削減できる可能性があることが明らかになったと発表した。8行の合計で、年間80~120億ドルのコスト削減に相当するという。
ブロックチェーンとは、セキュリティと信頼性を維持しながら、複数の関係者が同一データにアクセスできる分散型台帳(データベース)システムのこと。
今回の調査レポート「
Banking on Blockchain: A Value Analysis for Investment Banks(投資銀行におけるブロックチェーン ― 投資銀行での利用価値に関する考察 )」は、ベンチマーキングサービス大手であるマクラガン社が集計した、8行の詳細なコストデータの分析に基づくもの。
アクセンチュアのブロックチェーン技術に関する知見とマクラガン社のデータを、アクセンチュアが定義する「ハイパフォーマンス・インベストメントバンク」モデルに適用することで、ブロックチェーン技術を活用することにより投資銀行が得られる価値を試算したという。
アクセンチュア金融サービス本部のグループ・チーフ・エグゼクティブを務めるリチャード・ラム氏は「近年、金融機関は、規制順守のための支出と収益への圧迫という課題に直面しており、収益性を高める手段として新たな技術への投資を迫られている。私たちは、投資銀行における実際のコストデータを分析することで、ブロックチェーンがもたらす価値を初めて明確に示すことに成功した」と説明。
アクセンチュア金融サービス部門ブロックチェーン専門チームでマネジング・ディレクターを務めるデイヴィッド・トリート氏は「資本市場におけるデータ照合に要する膨大なコストを考えると、ブロックチェーン技術に多額の投資が開始されているのもうなずける。しかし、他の新技術と同様、その投資効果を把握するのは困難。投資銀行経営陣には、システムの導入にあたり、戦略見直しと運用モデルを再設計すること、さらにはその手法や対象分野を示した明確なロードマップが必要だ。今回アクセンチュアが実施した調査は、まさにこのニーズに合致するもの」と説明している。
投資銀行は現在、取引や顧客に関する情報などを保管した、各行独自の膨大なデータベースを抱えている。取引を完了するには、自行のデータと取引先や顧客のデータを照合し、認証する必要があるが、多大な労力と維持コストが伴う複雑なプロセスであり、エラーも起こりがちであるという。
最先端のソフトウエアや通信機能、暗号化技術を活用したブロックチェーン技術を導入すれば、投資銀行は、細分化した個別データベースを維持する必要がなくなり、銀行横断的な分散型共有データベースへ移行することが可能になる。ブロックチェーン技術は、参加者間で検証済みの取引データを記した共有型デジタル台帳を実現し、取引データは、非改ざん性およびユーザーに必要なセキュリティとアクセスを備えた状態で提供される。
取引処理を実行する従来の細分化データベースシステムを、分散型共有データベースに置き換えることで、銀行はリコンサイル(照合)にかかるコストを削減すると同時にデータの質を高めることができるとアクセンチュアは指摘。レポートによると、これにより銀行の中核的なミドルオフィス業務やバックオフィス業務の多くに、大幅なコスト削減がもたらされることが想定されるという。
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