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- 2016/09/28 掲載
大量消費されるSNS広告には「素人っぽさ」が必要だ
スナップマート創業者えとみほ @etomiho 氏に聞く
Webメディアでの経験から生まれたスナップマート
──スナップマートとは、どんなサービスなのでしょうか?江藤氏:スナップマートとは、スマホで撮った写真を、PCを使わずスマホだけで、フリマ感覚で売買できるプラットフォームです。1枚100円から販売でき、本人確認として運転免許証などをスマホで撮って送っていただくと一定価格まで価格設定できるようになっています。あと、モデルリリース(肖像権使用許諾書)を取得すると、販売価格に上乗せできます。
──2016年6月1日にローンチしたわけですが、スタート時の反応はいかがでしたか?
江藤氏:リリースしたのはiPhone版アプリだけですが、リリース直後はアプリが1日で1万くらいダウンロードされ、それが何日か続きました。予想以上の反応でしたね。広告宣伝もせずプレスリリースを流しただけなので、そんなにダウンロードされるとは思っていませんでした。登録完了をメールで自動送信する設定を「1日400通で足りるだろう」と思っていたら、あっという間に上限オーバー(笑)。わっと苦情がきて大変でした。
──スナップマートはどういうところからアイディアが生まれたのですか?
江藤氏:私はインターネット広告代理店で、Webメディアの編集長をしていました。そのとき、記事を読んでもらうために重要なアイキャッチのチョイスにすごく困ったんです。写真素材を探して「いいな」と思うものは他のWebメディアで使われていることが多いんです。そんなときにインスタグラムやツイッターなどで流れてくる写真を見て「これ欲しい。売ってくれないかな」と思ったのが動機でした。
それが2015年1月くらい。その後、8月ごろまで準備にかかり、10月頃から制作をスタートして開発に約1年かかりました。 本当は3、4か月で作ってテスト的にリリースすることを考えていたのですが、予想以上に開発に時間がかかりました。
写真素材は「大量消費」され、SNSでは「素人っぽさ」が好まれる
江藤氏:私自身が企業のSNSアカウントやネット広告運用の現場にいた経験が大きいです。いまは、従来の広告に比べるとフェイスブック広告やインスタグラム広告に入稿する写真の枚数が膨大なんです。1回に数十枚から数百枚のクリエイティブを入稿してABテストをする。飽きられたらすぐに差し替えないといけない。その写真をわざわざ撮りにいくのでは費用がかかって見合わない。安くバリエーションのある写真の調達は課題でした。知り合いの広告代理店やWebメディアを運営している人に聞くと同じことで悩んでいる。ニーズがあるということがわかりました。
インターネット広告では同業他社が使っていない、オリジナリティのあるモデルの写真が必須です。しかも、ソーシャルの時代では広告っぽい写真は嫌われるようになってきています。スナップマートは素人の子たちが素人を撮った素人の写真なんですが、そんな素人の写真の方がソーシャルメディアのタイムラインにはすごく馴染む。「これ自撮り?」みたいな写真がよく売れていたりします。
──企画段階でどのような調査をされたのですか?
江藤氏:原宿で100人ちょっとの女子高生などにカメラロールを見せてもらって、どんな写真を持っているのか? 100円で売ってくれるのか? ということをリサーチしました。
彼女たちは思った以上にスマホに写真を持っていました。平均で4000枚くらいはありました。しかも、欲しいと思えるいい写真がけっこうある。使っている端末は約9割がiPhoneでしたので、まずはiPhone版からアプリをリリースしました。
買う側のニーズはわかっていましたが、女の子たちが自分の顔が出ている写真を、広告などに使われるために売ってくれるかが不安でした。でも、聞くと「めっちゃ、テンションあがる」と(笑)すごく好意的でした。若い子の感覚ってこんな感じなんだと逆に驚きましたね。
いまの18才以下の子たちはスマホネイティブで、スマホでなんでも作っちゃいます。もちろん、スマホなどのデバイスが進化しているからで、私たちがPCを使って写真をPhotoshopで加工するようなことをスマホはぜんぶ、手軽にやれてしまう。加えて個々のクリエイション能力が高くなっている。スマホで動画や広告みたいなものもなんでもクリエイションする。クリエイティビティとリテラシーがすごく高い。プロと素人の垣根がなくなっている、というのは感じます。そんな子たちの能力をもっと表に出してあげたいですね。
【次ページ】フォトコンテストとコラボで1700枚の投稿が集まった
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