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- 2016/06/21 掲載
商用NoSQLのマークロジックCEOに聞く、「分断された」企業内データの融合戦略
RDBMSを利用するかぎり「データ分断」からは逃れられない
ブルーム氏:現在、企業情報システム内のデータというのは分断されています。これは今まで使ってきたリレーショナルデータベースのアーキテクチャ上の制約から仕方のないことでした。データはリレーショナルデータベースに入るよう「成形」せねばならず、そうできないものはその外で管理することを強いられてきたのです。
──企業における「データ」の重要性は増すばかりです。
ブルーム氏:データそのもののバリエーションも増しています。動画や画像といったマルチメディアデータ、GIS(地理空間)データ、IoTのセンサーデータ、ソーシャルデータなど、多様なデータを有効に活用できるかどうかが企業の競争力につながっています。
こうした分断されたデータの統合には膨大なコストがかかります。データサイエンティストは、データを整理するために80%の時間をムダにしていますし、データウェアハウスプロジェクトにおいてETLにかかるコストは60%にのぼります。2015年にリレーショナルなデータによって作られ続けたデータの分断は実に360億ドルにのぼります。
──大手データベースベンダーはリレーショナルデータベースとNoSQLは使い分けが大事と言っています。
ブルーム氏:OracleもIBMのDB2も素晴らしいリレーショナルデータベースです。しかし、ここでの大きな課題は、先ほども述べたETLです。データの連携をいちいちETLで行う必要があるため、莫大なコストがかかり、アプリケーション開発に何年もかかっています。
また、RDBMSではデータの格納前に構造定義が必要で、ビジネスの成長や変化に合わせたアジャイル性やリアルタイム性が犠牲になってしまっています。
OSSではエンタープライズの要件を満たせない
──こうした課題からNoSQLが生まれてきたわけですが、日本ではHBaseやCassandra、MongoDBなどのOSS製品の利用が中心です。ブルーム氏:OSS製品の魅力というのは無償であるという点ですが、企業向けビジネス要件では不十分な点が少なくありません。たとえば可用性、セキュリティ、管理性などがそうです。
特にセキュリティは、企業環境においては「あればいい要件」ではなく「絶対なければならない要件」で、日本市場においては最重要課題です。なおかつ高いトランザクション性能を発揮し、管理工数抑制にも配慮する必要があります。これらはOSS製品がフォーカスしてこなかった領域で、それでは企業にとっていくら無償でも意味がありません。
また、OSSのNoSQL製品は、構造化データを扱うのには向いていないという場合もあり、「データの分断」という課題の解決には至らないことが多いのです。
【次ページ】日本市場の方がより速くNoSQLテクノロジーが浸透する
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