• 2021/10/13 掲載

クラウド型データベース管理システムとは何か?グーグルやAWSなど主要8社のサービスも紹介する

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オンプレミス型のデータベース管理システムに代わり、台頭してきたのが「クラウド型データベース管理システム」だ。初期コストの安さや手軽さなどから導入する企業が増えている。クラウド型データベース管理システムにはどのような特徴があるのか。グーグル(Google Cloud)やAWS、Microsoft Azureなどの主要企業8社の各サービスの特徴と活用のメリット、主要なベンダーなどとともに基本的なところをわかりやすく紹介しよう。
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台頭するクラウド型データベース管理システム
(Photo/Getty Images)

クラウド型データベース管理システムとは

 クラウド型データベース管理システムとは、文字通りクラウドベースのデータベース管理システム(DBMS)だ。コンピューティング全体が広くクラウドへシフトする中、当然のようにデータベース管理システムもクラウドへと移行しつつある。

 従来は、データベース管理システムといえば、社内に専用サーバを構築して運用するオンプレミス型が一般的であった。

 これは専用サーバーにデータベース管理システムソフトウェアをインストール、社内LANを経由してアクセスし利用する方法だ。ただし、構築と運用には専門的なノウハウが必要で、維持や管理のためのコストも多額となる。災害などに備えてバックアップなどの準備も必須だ。

 しかし、クラウド型データベース管理システムであれば、そうしたものがあらかじめ準備されていることが多い。

 従来からインターネット上にデータベースを設置することは可能だったが、ネットワークスピードが整備されてきたり、各社のサービスが充実したり、アジャイルな開発が求められたりといった理由からクラウドでの活用も本格化してきたのだ。

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データベースもクラウド活用に耐えられるようになってきた
(Photo/Getty Images)

データベース管理システムとは
 そもそもデータベース管理システム(Database Management System)とは、データベースにデータの「保存」「取得」「定義」を行い、管理するためのソフトウェアのことをいう。一般的に、データベース管理システムは、エンドユーザーとデータベースをつなぐインターフェースとして機能する。

 SQL(Structured Query Language)と呼ばれる言語を介して、データのやり取りが行われるのが一般的だ。なお、データベース管理システムの中で、最も一般的なのがリレーショナルデータベース管理システム(Relational Database Management System, RDBMS)だ。

 リレーショナルデータベース管理システムとは、データをテーブルと呼ばれる表に蓄積して管理するタイプのデータベース管理システム。データをリレーショナルに(関連づけて)管理できるため、さまざまな用途で使われている。現在使われているデータベース管理システムの多くがリレーショナルデータベース管理システムである。

クラウド型データベース管理システムのメリットと注意点

 クラウド型データベース管理システムにはいくつかの特徴がある。実際にクラウド型データベース管理システムを導入する前に確認しておこう。

1.初期コストを抑えられる
 従来のオンプレミス型データベース管理システムの場合、ソフトウェアやサーバーなどの初期投資のほかに、管理者の人件費、サポートコスト、電気代、減価償却費などのランニングコストが必要となる。

 社内ネットワークの規模が大きい場合、これらのコストは相当な金額だ。一方、クラウド型データベース管理システムであれば、初期コストを抑えることができる。

2.導入が比較的簡単
 クラウド型データベース管理システムは、導入が比較的簡単なことも特徴だ。オンプレミス型のデータベース管理システムのように、ソフトウェアをインストールしたり、インターフェースを構築したりする必要もない。思い立ったらすぐに導入できることは、大きなメリットだろう。

3.メンテナンスの手間がかからない
 メンテナンスが楽なことも、クラウド型データベース管理システムの特徴だ。オンプレミス型のデータベース管理システムのようにバックアップをとったり、サーバーメンテナンスをしたりする必要もない。サーバーが物理的にクラッシュする恐怖におびえる必要も無いのだ。

4.サービスが進化を続ける
 常にサービスの見直しがかかっているため、自分たちで最新版をアップデートするといった手間はかからなくて済むことが多い。

 こうしたメリットがある一方で、注意すべき点もある。4つ挙げてみよう。

1.カスタマイズが難しい
 カスタマイズが難しいことは、注意点として押さえておきたい。特に、「社内のレガシーシステムなどと連動させる」「独自のウェブアプリケーションなどを構築する」といった場合は困難となる可能性がある。また、クラウド型データベース管理システムでは、そもそもアーキテクチャそのものをカスタマイズすることはできない。

2.セキュリティ面に注意する必要がある
 セキュリティ面も注意点の一つだ。クラウド型データベース管理システムは外部接続が前提になるため、オンプレ以上に気を遣う必要がある。また、サービスのタイプによって提供されるセキュリティレベルが違うことが多い。安価なサービスを使っているケースでは注意が必要だろう。

3.柔軟性に欠ける
 オンプレと比較すると細かなカスタマイズやチューニングが行えないことが多い。自社独自の設定等を求める場合などには合わないこともある。

4.TCOではコスト増になる場合がある
 長く使っている場合や大規模で利用する場合、TCO(トータルコスト)ではオンプレを上回るコストになる場合がある。

グーグルやAWSなど主要企業8社と対応サービス

 代表的なクラウド型データベース管理システムを手がける企業とその製品をいくつかご紹介しよう。

Google Cloud SQL
 Google Cloud SQLは、Googleが提供するGoogle Cloud Platform上のデータベース管理システムだ。MySQL、PostgreSQL、SQL Serverが利用でき、MySQLの場合、最大624GBのRAMと64TBのデータストレージが利用できる。言語では、C#、Go、Java、Node.js、PHP、Python、Rubyなどをサポート。

 料金は、プロビジョニングしたストレージの量、インスタンスに選択するCPUの数およびメモリ料、データホストの場所、ネットワークトラフィックの量、使用するIPアドレスの数などによって従量課金される。

Microsoft Azure SQL Database
 Microsoft Azure SQL Databaseは、Microsoft Azure Platform上のデータベース管理システムだ。常に、最新のMicrosoft SQL Serverが利用できるフルマネージドサービスとなっている。

 .NETアプリケーションとのインテグレーションが可能で、.NETのエコシステムでアプリケーション開発などを行っている場合はうってつけだろう。

 ビルトインAIも標準装備されているので、AIベースのアプリケーション開発などにも使えそうだ。料金は、使用メモリ量、ストレージの量、バックアップストレージの量、長期リテンションの有無などによって従量課金される。

Amazon RDS
 Amazon RDSは、Amazon Web Service(AWS)上のデータベース管理システムだ。Amazon Aurora、PostgreSQL、MySQL、MariaDB、Oracle データベース、SQL Server などの6つのRDBMSが利用できる。

 また、AWS Database Migration Service を使用すると既存のデータベースを Amazon RDS に簡単に移行できる。すでにMySQLなどを運用していて、AWSに移行したいといった場合に適している。

 料金は、利用するRDBMSのタイプ、インスタンスのタイプ、CPUクレジットの量、長期契約の有無、ストレージの量、バックアップストレージの量などによって従量課金される。

Oracle Database Cloud
 Oracle Database Cloudは、Oracle Cloud Platform上のデータベース管理システムだ。Oracleのデータベースに「最適化」した環境が提供されている。また、in-memory、NoSQL、MySQLなどのRDBMSも利用できる。

 すでに、Oracleのデータベースを利用していてクラウドへ移行したい場合は検討してもよいだろう。

 料金は、Oracleライセンスの有無、利用するRDBMSのタイプ、バーチャルマシン使用の有無、ストレージの量、バックアップストレージの量などによって課金される。

IBM Cloud Database
 IBM Cloud Databaseは、IBM Cloud Platform上のデータベース管理システム。PostgreSQL、Oracle Database、IBM DB2 DatabaseなどのRDBMSが利用できる。PostgreSQLの場合、データはすべて暗号化してやり取りされるなど、高いセキュリティレベルを確保。また、SLA(Service level agreements )99.99%という高い安定性を確保している。

 料金は、利用するRDBMSのタイプ、インスタンスのタイプ、使用メモリ量、ストレージの量、バックアップストレージの量などによって従量課金される。

ガートナーによるクラウドデータベース管理システム2020の評価で、リーダーポジションに位置付けられている企業
サービス総称 提供企業 利用できる主なRDBMS
Google Cloud SQL Google MySQL、PostgreSQL、SQL Server
Microsoft Azure SQL Database Microsoft SQL Server
Amazon RDS Amazon PostgreSQL、MySQL、MariaDB、Oracle、SQL Server
Oracle Database Cloud Oracle Oracle Database、in-memory、NoSQL、MySQL
IBM Cloud Database IBM PostgreSQL、Oracle Database、IBM DB2 Database
SAP HANA Cloud SAP SAP HANA SAP Data Warehouse Cloud
Teradata Database Teradata  
Alibaba Cloud Database Services Alibaba Cloud MySQL、SQL Server、PostgreSQL、Redis、MongoDB

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