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東京大学は、2015年4月1日に新たな寄附講座「セキュア情報化社会研究」グループ(SISOC-TOKYO)を東京大学大学院情報学環内に設置し、本格的に活動することになったと発表した。代表教員は、東京大学大学院教授 須藤 修氏がつとめる。
SISOCとは、セキュア情報化社会研究グループ(Secure Information SOCiety Research Group)の略語を組み合わせた言葉。「サイバー空間の課題について 文系と理系の知恵を活かし 学際領域の研究成果を発信する」という。
新立明夫氏がデザインしたロゴには、頭脳と知見、視覚とセキュリティ、波動と情報発信、指紋と本人確認、羅針盤と政策提言といったコンセプトが込められている。
本グループを発足した背景は、大きく4つある。1つめは、多発するサイバーセキュリティ事案があり、技術偏重の枠組みでは対応しきれないということ。2つめは、セキュリティ人材の不足。最新の知識と教育にギャップが生まれてしまっている。3つめは、サイバー空間の課題の再定義の必要性。「対症療法でない抜本対策」の必要性を訴えた。4つめが、マイナンバー制度とオリンピックというサイバーセキュリティが直面する2つの大型イベントの存在があったことだ。
参加するのは、代表教員の東京大学大学院教授 須藤 修氏のほか、東京大学 名誉教授 安田 浩氏、内閣官房審議官NISC副センター長 谷脇康彦氏ら。
研究方針としては、サイバーセキュリティ問題を解決するためだけでなく、情報通信分野に横たわる広範なサイバー空間に関する研究課題を発掘・検討・再定義するという。
また産官学の協力によって、サイバーセキュリティ関連技術とマイナンバー制度の検討など制度的環境にまたがる境界領域を対象に、情報通信工学による自然科学的アプローチのみならず、経済学・法律学・行政学・社会学などの社会科学的アプローチをとりいれた学際的な研究分野を行う。
具体的な研究対象としては、上場企業におけるセキュリティインシデント発生後の企業価値に与える影響など社会科学的な研究群とID管理と生体認証技術など自然科学的な研究群において研究活動を進める考え。
人材育成の面では、東京電機大学などの大学・研究機関や民間企業も含めた産官学との連携の下に高度セキュリティ専門家(Cys・HS:High level specialist on cyber security)の養成を行う。とくにハッキング攻撃用のサイバーセキュリティプラットフォーム(演習用サイバーレンジ)を構築し、学歴年齢を問わないサイバーセキュリティの専門家を招へいし、実地訓練による人材育成とともにハッキング防御技術やセキュリティ耐性の評価を行うという。
さらに、本研究グループは研究の拠点となるだけでなく日米欧亜のセキュリティインシデントの調査分析に基づき定期的な情報発信を行い、併せて国に対して政策提言を行っていく。
設置期間は2020年3月31日までの5年間。東京電機大学、名古屋工業大学大学院らとも連携していく。
8月以降、共同研究課題および研究者・サイバーセキュリティ技術専門家の公募の開始、ハッキング防御技術研究のためのサイバーセキュリティプラットフォームの構築を行うとともに、順次セミナーなども開催していく予定。
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