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  • 2013/09/05 掲載

政府CIO補佐官 平本健二氏:日本の成長戦略の要はITの共有する力とつなぐ力

米国陸軍のBPM活用事例とは?

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日本政府は“世界最高水準のIT社会”の実現に向けた数々の取り組みを行っている。今年6月には成長戦略となる「日本再興戦略」を閣議決定し、同時にこれを支えるIT戦略も定めた。その中で重要な鍵を握るのが、ビジネス・プロセス・マネジメント(BPM)を活用したモデリングの実現だ。BPMフォーラム2013にて、政府CIO補佐官 兼 経済産業省CIO補佐官の平本健二氏が、業務改革におけるBPMの重要性と政府の具体的な取り組みについて語った。

日本の成長戦略を支えるITの“共有する力”と“つなぐ力”

photo
政府CIO補佐官

経済産業省CIO補佐官
平本 健二 氏
 日本政府は2013年6月14日、日本の成長戦略となる「日本再興戦略」を閣議決定した。これは、少子高齢化や資源/エネルギー問題といったさまざまな社会問題に対し、ITなどをうまく活用することで世界に先駆けた社会を創造し、新たな成長分野における優位性の獲得を目指すものだ。

「そのためには、澱んでいたヒト、モノ、カネを一気に動かしていくことが求められる。そこで必要となるのが、整備されたプロセスに基づく“仕組み化”だ。BPMやITは仕組み化に非常に有効なツールになると考えている。」

 また同じ6月14日には、日本再興戦略を支えるIT戦略「世界最先端IT国家創造宣言」も閣議決定された。この中では、目指すべき社会の姿と、それを実現するためのITにおける3つの取り組み目標が示されている。1つ目が、産業/サービスのイノベーションと成長をITで支えること、2つ目が、安全/安心をITで支えること、3つ目が、効率的な社会をITで支えることだ。

「これらを実現するに当たり、我々が重視しているのは、ITの“共有する力”と“つなぐ力”だ。」

 ネット上に存在するさまざまな情報に加え、企業内でも情報共有基盤を構築することで、業務の知識やノウハウ、業務プロセスなどを全従業員で共有/活用できるようになる。またITによって、関係者同士あるいは情報同士を迅速につなぐことも可能だ。

「特に共有する力を使えば、初級者の業務レベルを短期間で一定水準にまで高めることができる。上級者にとっても、単純な業務プロセスの処理は共有プラットフォームに任せ、データを使って何をするかといった付加価値を生み出すための業務に注力できるようになる。これも上級者のアウトプット向上につながるものだ。」

IT革命を支えるBPM/BPMN

 続いて平本氏は成長を支える技術について言及し、「IT革命を支えるものが、モデリングとその活用技術だ」と指摘した。

 たとえば製図は“工学言語”であり、モノづくりの上での意思伝達手段として非常に重要となる。国際性、汎用性、大衆性、一義性、簡略化/省力化などを備えているため、産業革命の発展を支えた。モデリングもまた、ITや業務における製図だということができる。

 ここで平本氏のいう製図やモデリングは、“標準化”という言葉に置き換えて考えればわかりやすい。

「IT革命とモデリングの関係は、産業革命と製図の関係に似ている。IT革命においても、BPMやBPMN(Business Process Modeling Notation:ビジネスプロセスモデリング表記法)を活用してモデリングをしっかり行うことで、非常に高度な業務改革に結び付けていくことが可能となる。」

 モデリングによって、顧客ニーズを要求仕様にまとめる時や設計に落とす時にも、元のイメージを共有したまま、作業を進めていくことが可能となる。

「するとコミュニケーションが楽になるだけでなく、さまざまな形で事前検証ができるようになり、その結果を設計に再度フィードバックするというサイクルを回しながら、製造工程においてはロボットを使って自動化できるようになる。」

画像
モデリングにより何が実現できるのか
(出典:平本氏講演資料)


 また何かのシステムを作ろうとする際、これまでは業務ノウハウの既製品である“パッケージ”を採用するか、あるいはテーラーメイドとなる“スクラッチ開発”を行うかの二者択一だった。

「これらに対して、BPMをエンジンとして使いつつ、その上で自分たちでモデリングすることでシステムを構築をしていくことが可能となる。いわば“第三の道”が拓けてきているといえる。」

 また平本氏は「BPMは実装レイヤーの自由度を高めるものだ」と強調する。業務目的やプロセス、データはユーザー側でマネジメントする必要があるが、実装のレイヤーについては、パッケージやスクラッチ、あるいはBPMをエンジンとして使うやり方、アウトソーシングというように、さまざまな選択肢を採ることができる。

「これによって、プロジェクトが始まるとSIerなどに移ってしまいがちな業務改革やシステム化の主導権を、ユーザー企業側に取り戻すことが可能となる。」

【次ページ】人が変わっても運用継続するための米国陸軍のBPM活用事例
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