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- 2012/03/27 掲載
「AIJ問題」防止のための年金運用態勢強化のイロハ(1) ~ 何が論点なの?(3/3)
年金運用態勢に存する論点
今回の事件をきっかけに、年金運用態勢の改善の必要性が叫ばれている。企業年金・投資顧問会社・信託銀行それぞれの立場における論点は何だろうか。1.企業年金
関係者間の利益のバランスの維持
中長期的な企業年金の維持には特定の利害関係者の利益にあまりに偏ることのないような態勢を指向すべきである。この観点、年金資産の運用が思わしくなく積み立て不足に陥っている企業年金に関して、より切実になる。不足を解消するためには企業が拠出を増額するのが原則。しかし、財務体力のない企業ではこれも困難であり、受給者への給付額の削減を余儀なくされるケースも。
一定の運用成績を確保する責任
ここ数年の投資環境の悪化で運用成績が落ち込む企業年金が増えているが、一定の運用成績を保つ責任は一義的には企業年金にある。これは、投資一任契約で運用を投資顧問会社に委託している場合も同様。
意思決定ポストを務める者の業務精通度
特定官庁のOB等が企業年金の意思決定ポストに就任する過程では、適材が適所で職務を遂行できるかが必ずしも問われていないとの論調も見かける。加入者・企業からの掛け金をリスクを伴いつつ金融市場で運用・増殖させ、それにより給付原資を確保するための意思決定には、金融市場や財務・会計に関する高度な専門性が求められる。
2.投資顧問会社
適切な情報開示
「AIJ問題」で投資顧問会社が金融監督当局から業務停止処分を受けた直接の理由は「投資家に現在の運用状況を説明できない」不適切な情報開示にあった。情報開示のあり方は、「誰に」「いつ」「何を」「どうやって」の観点から検証されよう。
適正なリスク管理、コンプライアンスの実践
投資顧問会社は投資一任契約に基づき委託者たる企業年金の利益のために運用業務を行う。投資に伴うリスクとリターンを定量的・定性的に分析し然るべき頻度でモニタリングを行い投資判断に反映させる態勢の構築は必須である。また、委託者の利益とは何かを多面的な視点から常に捉えて業務にあたる高い倫理性も、意思決定ポストを務める者には特に要求される。
3.信託銀行
受託者責任の履行
信託契約において、受託者たる信託銀行は委託者たる企業年金のために年金運用に伴う事務を行う。この際、何をどの程度まで行えば受託者責任を適正に果たすことになるのか。投資顧問会社の運用指図を忠実に実行するだけで足りないとすれば、投資運用会社や企業年金の責任範囲との兼ね合いで何をどの程度まで行えるのかが議論の焦点となる。
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