- 2011/01/28 掲載
【民主党藤末氏コラム】「新興市場を立て直さなければ日本に新しい産業は育たない!」 第2回
連載『ふじすえ健三のビジネス+IT潮流』
テクノリージョンをわが国に
2001年に発刊された『「シリコンバレー」のつくり方―テクノリージョン型国家をめざして』東 一眞 (著)という本がある。10年近く前の本であるが、ベンチャー促進のための環境のあり方を示した名著だと思っている。
ここで書かれていることは「事業資金提供はベンチャー育成の壁のひとつにしかすぎない」ということである。
しかし、この言葉を裏返せば、「事業資金提供は最低条件」であると読める。
本書では、ハイテクベンチャーが生まれるテクノリージョンに大切なことは、
2 ヒト:経営ノウハウや研究開発力をもった人材
3 カネ:リスクマネーの提供
テクノリージョンに必要なことは「起業が循環」することである。起業体験者であるエンジェルのサポートによる経営ノウハウの循環、ベンチャーキャピタルなどの投資から公開(IPO)やM&Aといったexit、そしてexitで得られたカネの再投資による循環、このような起業家と投資家やエンジェルとの相互作用によってハイテクベンチャーが生まれてくる。
『大企業は1人でもNoと言えばアイデアは死ぬ。テクノリージョンは1人でもYesと言えばアイデアは生きる』。これがシリコンバレーの活力を生むと指摘している。
本書にあるように、新しいアイデアを生み出す環境を作り出すことが今日本にも求められている。
特に重要なのが資金の循環
現在、大企業だけですべての技術開発を行うことが難しくなっている。大手企業にはやれない技術領域があり、それを担うのが大学・研究機関、そしてベンチャー企業である。大学や研究機関には政府や企業などの研究資金が投入されれば活性化できるが、ベンチャーはそうはいかない。ベンチャーに資金が投入されるには、ベンチャーに投資された資金がIPO(株式公開)やM&Aによって回収され、それが次のベンチャー投資に回るというカネの好循環が必要不可欠である。しかしながら、前号で書いたように今の日本では振興株式市場が十分には機能せず、ベンチャー企業を育成するための資金循環システムが機能していない。
今、この点を改善することが求められている。
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