- 2011/01/24 掲載
【民主党藤末氏コラム】イノベーションを推進するための金融制度のあり方とは? 第1回
連載『ふじすえ健三のビジネス+IT潮流』
間接金融と直接金融
産業に資金を提供する金融には大きく二種類ある。銀行が預金者からお金を集め企業に融資する間接金融と、株式や社債の発行により投資家から直接資金調達を行う直接金融である。小泉首相は2001年の施政方針演説で、『貯蓄から投資へ』の流れを加速すると言及した。これはまさに個人の資金を市場に呼び込む、つまり間接金融から直接金融にシフトを進めようとしたものだ。それまで日本政府は、1998年に銀行窓口での投資信託の販売解禁や株式売買手数料の自由化等の規制緩和を行っていた。そして小泉総理の下、2003年からは証券優遇税制が実施され、2005年には郵便局での投資信託の販売が解禁された。
当時、直接金融、言い換えれば投資を進めることにより新しい企業への資金調達を進め、また、株価を上げることができると指摘されていた。しかし、現状を見てみると「間接金融(貯蓄)から直接金融(投資)」への転換は進んでいない。
なぜ直接金融が進まないか?
わが国の銀行を見ていると、どうもハイリスクな融資をする体制にない。技術や製品・サービスに対して融資というよりも「担保」がなければ融資できないという方向にどんどん進んでいる。
ちなみに間接金融(融資)の特徴は、
運転資金かキャッシュフローが見える設備投資向き
タンジブルな資産を担保とするか、過去のキャッシュフローが見えているか
実態を要求する(有担保を前提とした返済原資の確実性の審査)
(出典:ベンチャーキャピタル協会会長 呉雅俊氏資料)
となっており、過去の実績がない新興の企業には融資ができないのだ。
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