- 2011/01/28 掲載
【民主党藤末氏コラム】「新興市場を立て直さなければ日本に新しい産業は育たない!」 第2回(3/4)
行き過ぎた投資家保護
筆者は、行き過ぎた投資家保護も国会審議でも指摘し続けている。金商法改正、貸金業法改正(投資家保護ではなく債務者保護?)などの折に金融庁は「投資家保護」をお題目のように繰り返していた。筆者は、金融庁の設置目的は、金融庁設置法第三条 にある「金融庁は、我が国の金融の機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者その他これらに準ずる者の保護を図るとともに、金融の円滑を図ることを任務とする」のうち「資金を出すものの保護」だけを意識しており、「資金を使う企業者のことを考えていない」と指摘し続けている。金融の円滑化は資金を使う企業に対する配慮がなければ成り立たない。現在の状況が変わらないのであれば条文を変える必要があろう。
また、問題なのは法律だけではない。
現在の証券会社審査部は経営直轄であり、かつて「公正慣習規則」と称された証券業協会の「自主規制規則」に縛られた審査慣習を続けている。これは昭和40年代に確立された時価発行増資の古い投資家保護政策の負の遺産でしかない。
この自主規制を変えない限り、いくら法改正しても新興市場の再生はありえないと見ている。
投資家保護は「情報開示」が鍵!
自主規制規則では、「予算と実績の誤差管理」を異常に重視している。「事業の新規性」ではなく「事業の継続性」の審査は、新興市場の審査項目としてふさわしいか議論する必要がある。新興市場は、事業成長を第一目的にすべきであり、「投資家保護」が行き過ぎると目的と手段が入れ替わっているのではないか!
アメリカの新興市場においては、「投資家保護」という概念は、あくまでも「適正な情報開示」を前提としている。つまり、不適切な情報によって投資家が間違った企業価値判断をしないよう保護することが投資家保護なのである。企業価値の評価を株式会社や市場が行うのではなく、「投資家に委ねる」という基本があり、投資家の自己責任を徹底させているのである。アメリカのシステムが必ずしもよいとは思わないが、参考になる点はあるはずである。 このようなシステムの中で、上場引受け証券会社は、アナリストによるベンチャー企業の分析・評価であり、成長企業であると判断すれば赤字企業であっても引き受け、市場による資金提供の道を拓くのである。
アメリカでは、弁護士がSECのファイリングへの対応を行い、ファイリングに必要な事業内容の法的審査を行う。また、監査法人はファイリングに必要な財務内容の開示を審査する。このように株式会社と弁護士と監査法人による三位一体の体制で徹底した開示を行う。
また、米SECでは、『業績審査は一切行われず、適正な開示がなされているかの審査に徹する』のである。不正確な情報開示や不備が見受けられる場合は、SECにより承認が拒否される。そして、形式基準を満たしてさえいれば、適正・適時開示体制に問題がなければ登録は承認されるのである。
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